[携帯モード] [URL送信]

海馬君ラブ!
3



 互いに散々なワンターン目を終了し、ツーターン目。城之内の場に召喚されたパンサーウォーリアーはワンターン目に伏せてあった羊トークンを生贄に、遊戯に切りかかる!
「トラップ発動!聖なるバリアミラーフォース!」
「ぎょへぇぇー!」
 唯一手札にあったモンスターであるパンサーウォーリアーがあっという間に塵と化し、またしても城之内を守るモンスターはいなくなってしまった。羊トークンを覗いては。
「間抜けが!遊戯が伏せていたカードを忘れたのか!これだから貴様は万年ビリッケツなのだ!」
「なにをー!」
 笑う海馬と遊戯。遊戯のほうは無難にビックシールドガードナーを守備表示で召喚。城之内にクイーンズナイトで攻撃。城之内の羊が一匹消え去る。
 海馬はドローしたカードを見て不敵に笑った。
「フッフッフ、貴様には早々に消えてもらおうか!マジックカード発動サイクロン!城之内の羊トークンを破壊!」
 めぇーーと最後の鳴き声をあげて残りの羊トークンが場から消え去り城之内を守るものは何一つ無くなった。
「行け、ブラッドヴォルス!城之内にダイレクトアターーーーック!」
 決して格好いいとは言えないが四ツ星モンスターにしては結構攻撃力が高めのブラッドヴォルスの攻撃が城之内のライフを大きく削る。

「くっそ、オレのターン!」
 今城之内は絶体絶命。手札にはモンスターはおらず、頼みの綱だった羊も消えてしまった。ここは己の運にかけるしかない。
「いよっしゃー!来たぜ!」
 引いたカードはサイコショッカー。手札にある早すぎた埋葬を発動して生贄召喚できれば安泰だ。
「オレは手札からマジックカー…」
「待て!城之内!」
 高らかに宣言しようとした城之内の言葉を海馬が遮った。見ると目が爛々と輝いている。これは悪いことを考えている顔だ。本人はそんな風には思ってないのだろうが。
「なんだよ海馬ー」
「貴様、このデュエルが何デュエルか忘れたわけではあるまいな」
「あ、しまった脱衣デュエルだっけか」
 あちゃーといった顔でにへらっと笑う城之内に、海馬はさらにこう告げた。
「さあ、脱いでもらおうか!」
「城之内くん、男を見せるときだぜ!」
 遊戯も一緒になってケラケラと笑う。本当に、ありえない光景である。
「んじゃ、学ラン一枚な!」
 もぞもぞと青い学ランを脱ぎ捨てる城之内。いひゃひゃ、と笑いながら、足元をふらふらさせながらも、何とか脱ぎきった。が、海馬が待ったをかける。
「それだけじゃ足らんぞ凡骨が!」
「へ?」
「貴様は1900ものライフを失ったのだ。それに見合う処罰を受けんか!」
 城之内が脱いでいる間足元がおぼつかなかったのだろう、床に胡坐をかいて座っている海馬は、城之内にもっと脱げと指示している。
「っていったってなー。1900分ってどんくらい?」
 どうやら酔うと多少可愛らしくなる城之内はこっくりと首を傾げて海馬に訊ねた。
 ふーむと唸りながら海馬は楽しそうに指をさす。なにやら数えている模様。
「貴様が今身につけている服の数は5つ。それを4000で割ると一つ800。貴様が先ほど受けたダメージは丁度服2枚分だ!」
 こ、細かい…。城之内は笑いながらもそう思い、自分の服をまじまじと見てみるが、やがて何か合点がいかないらしく首を傾げた。
「かいばー、オレ服は4枚しかないけど?」
 黙っていればいいようなことを正直に言うあたり馬鹿と言うか何と言うか。普段なら気付きそうなものだが、致し方ない。海馬はやはりその質問か、という得意気な顔をするとフフン、と笑った。
「靴下も計算に入れておいてやったぞ、ありがたく思え。そして脱ぐ服は今一番ライフが多い者が指定できるというルールだ!」
「うへ、いつ決まったんだよそんなルール!」
「フン、つい先ほどだ。この屋敷内ではオレがルールだ!」
 ワハハハと笑う海馬は絶好調。早速城之内に学ランの下のシャツ、そして遊戯はズボンを脱ぐように指示した。
「ちなみに靴下は最後まで取っておいてやる!ワハハハ!」
「何だその萌えっつーか変態思考!」
 ブーブーといいながらもそれに従い、学ランの下のシャツを脱ぐと素肌に学ランON!本人は素肌に直接学ランと言うのがどうも慣れないらしく(当たり前)「ひやっこい!」などと笑っている。
 どうやら、このデュエル長く続きそうだ。




 何十分たっただろうか。
 海馬の部屋。そこにはこの季節に似つかわしくない男達が。

「フン、どうだ、スッポンポンにされた感想は」
 ククク…と優雅に笑いながら手元のカードをいじる海馬の瞳には、身包み剥された遊戯と城之内が。
 遊戯はかろうじてパンツを着用しているが、城之内は見るも無残な格好だ。
「ククク、裸に靴下のみというのはどうしてこうもそそるのか。なぁ、凡骨?」
「うっせーーー!覚えてろテメー!」
 海馬からの無粋な視線から逃れるように遊戯の後ろに隠れる城之内。だが、海馬の格好も人に威張れたものではない。
「テメーこそパンツにネクタイじゃねーか!ダッセーぞ!」
「だ、黙れ!貴様こそその貧相なブツをこちらに向けるな!」
「誰が剥いたんだよ!」
 もう、なんていうか。モクバがもう既に眠っていることを神に感謝いたします…!もしモクバが起きていたら。気を利かせてつまみを持ってきたりなんかしたら…!兄と言う立場が危うかったに違いないから…!裸にデュエルディスクというのは、かくも攻撃力は高いものだ。
「くっそー!自棄酒だ!」
 もう勝つ手段が一つも残されていない城之内はそばにあったシャンパンに手を掛け、一気に飲み干したかと思うと、そのまま横になってブツブツと文句を垂れ始める。
「くっそ…お…、あそこで…れっどあい…ず…しょうかんできてたら…」
 むにゃむにゃと言い出した城之内の語尾が消えたところで海馬が近づき、足でごろんとひっくり返す。どうやら寝ているらしい。規則的な寝息が聞こえてきた。
「フン、脆弱者が」
 仁王立ちで偉そうに笑う海馬だが、やっぱり傍から見たら格好悪い状態であることは間違いない。
 どこからか吹いてきた風がいつもならコートを揺らすが、今はネクタイが緩やかに舞うのみだ。
 海馬は勝利の声を上げるが、……忘れてはいけない。もう一人、勝つ可能性を秘めた男がいることを。
「さぁ、海馬。二人っきりだ。…………闇のゲームの始まりだぜ☆」
「………!」
 ぎこちなく首を声がした方向へと向けてみれば、ニヤリと笑ってこちらを見詰めている遊戯の姿。ちなみに海馬のフィールドには守備表示のXヘッドキャノンのみ。慌てて手札を見るが、リバースできるカードもありゃしない。
 対して遊戯のフィールドにはブラックパラディンに絵札の三銃士の究極形、アルカナナイトジョーカーが。……普通に考えて勝ち目は無い。
「海馬。気付いていたか。オレが目のやり場に困っていたことを!」
 海馬が服を一枚床に落とす度、その素肌が露わになる度に、遊戯は一々前屈みになっていたことを海馬は知っていた。知ってはいたが、その理由を想像したくなかったのだ。
「お、落ち着け遊戯。既に城之内という敗者が存在するのだ、何も勝者を一人に絞らずとも…!」
 わたわたと説明する海馬だったが、遊戯は容赦なくアルカナナイトジョーカーに攻撃命令を下し、Xヘッドキャノンを撃破。海馬を守るモンスターは露と消え去った。
「これでも最近お前が忙しそうだったから遠慮してたんだ。だが、今日はもう我慢できないぜ☆」
「ふ、ふざけるな!城之内がいる前で貴様まさか…!」
 ジリ…。ジリ…。
「平気だぜ、海馬!城之内君は一度寝ると中々目が覚めない!」
「か、可能性がゼロとは言い切れん!」
「その時は………その時だーーーー!!!」

 酒の匂いが充満する中、ブラックパラディンの剣が強く光りだす!
 ドゴォォン…!と凄い音を立てた後、ピピピピ…と海馬のライフがゼロになっていく音が、耳の奥にこだました。


 もう、酒は飲まん!
 翌日、海馬は痛む腰と共にそう硬く決意し、そして安堵した。
 城之内が泥酔していてくれてよかったと。




■なんかもう、すみません(笑)





おのれぇぇ!

3/3ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!