花束を、君に


 ――バサリ。
 軽い音と同時に視界が赤く塗り替えられる。強く甘い芳香に酔いそうになりながらそこから顔を逃がすと、見慣れた顔がいつものように高笑いをして揺れていた。

「ハハハハハ」
「プロイセン、何これ」
「何って見ればわかるだろうが」

 言われた通り、赤いそれをよく見れば視界を塞いでいたものが薔薇の大きな花束であったのに気付く。
 人の顔に押し付けるなと文句を言おうとしたけど、プロイセンが酷く真剣な顔で私を見ていて胸がドキリと音を立てた。

(――いやいや、待て待て落ち着け。何ときめいてるの私。
 相手はプロイセンよ。あのプロイセンよ。カッコいいなんて気のせいよ、気のせい!)

 花束の根元を握り締めて気を紛らわせようとしたけども、目の前の男はそれを許さなかった。

「ビラブド」

 力強く、抱き竦められる。バクバクと鳴る心臓の音は、幸い花束に遮られてプロイセンには届かない……と、思いたい。
 ていうかなにちょっとまってなにこれなにこの状況、えええ!?
 混乱する私の顔をプロイセンが覗き込む。赤い目が私を射抜く。心の奥底まで、鋭く。
 一言、ほんの一言プロイセンは私に告げた。

「俺に、惚れろ!」
「は、い」

 その気迫に呑まれるように頷いた。その瞬間、満足そうに笑ったプロイセンは気のせいでも何でもなく、とんでもなくカッコよかった。
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プロイセン様かっこよすぎるぜー!!!と全力で主張する。
ヤツはイザというときはキメキメにキメてくるに違いない。
'10/04/06

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