ある晴れた日の
燦々と日が照る。窓の下、アルフレッドやヨンスの元気な声が校庭から聞こえてくる。満腹感からくる眠気に重くなる目蓋を宥めて菊は青空を仰いだ。
窓際のこの席は午前中は日差しが眩しいが、景色の良さは何物にも替えられない。
目を細めて、隣のルートヴィヒに語りかけた。
「いい天気ですね」
「ああ、そうだな」
穏やかな気持ちに二人が浸っていると、すぐ真下、二年生の教室からけたたましい物音が響いた。
どっがらがっしゃっしゃーん!
「ギルーーー!!??」
ギルベルトの名を呼ぶ、ビラブドの悲痛な声とともに。
――ナニヤラカシタンダ兄サン。
ドイツは痛み出す頭を抱えた。
「大丈夫ですか、ルートヴィヒさん」
「ああ、すまん。どうやら兄さんがまたビラブドにも迷惑をかけているようだ」
「いえ、お気になさらず。多分お互い様でしょうし」
菊は曖昧に微笑みながらそう言った。直後。
がしゃどしゃでっがらかーん!!
「ビラブドーーーー!!?!?」
再び物音が響く。ギルベルトの叫びとともに。
――ナニヤラカシタンデスカビラブドクン。
菊は痛み出す胃を摩った。
僅か数秒でげっそりと痩せた感のある菊の、その肩に逞しい手が乗せられる。
「その……なんだ……強く生きてくれ菊」
「ルートヴィヒさん……!」
二人が熱い友情を再確認し、ガッシと互いの手を握り締める。
実に感動的な情景である。共通項は傍迷惑な身内、なんて事実が無ければ。
そこにぴょこんとやって来たのはフェリシアーノである。もう昼休みも後半に差し掛かっているが、その手にはオヤツのカナッペが握られている。
「二人ともどうしたのー?」
「友達……って素晴らしいと思いませんか? フェリシアーノさん」
「うん、そうだよね! 友達って素敵だよね!」
「ああ、いいものだな」
ふふふあはははと笑い合う三人のバックにはお花畑の幻影が映る。内、二人は現実逃避の変なテンションのため瞳孔が開ききっているのでどちらかというと向こう岸のお花畑に見える。
三度叫び声が響いたのはそんなカオスな時だった。
「てめーら! よくも俺の昼飯台無しにしやがったな!!」
「ヴェ? 兄ちゃん?」
どうやら派手に転けたギルベルトだかビラブドだかがロマーノの机を昼食もろともひっくり返したようだ。
「謝罪と賠償を要求するぞコノヤロー! とりあえずギルベルトは購買のスペシャルサンドと本日のオススメ肉まん奢りやがれ! 3つづつだぞ!」
――ソレハタカリダヨ兄チャン。
フェリシアーノのくるんがショボンと下を向いた。
「あ、ビラブドは今週末ちょっと付き合ってくれたらそれでいいぞ。出来ればお前の手料理なんか食べたいな」
延々聞いてて恥ずかしくなるような文句で口説きにかかるロマーノの美声をBGMに、顔を見合わせた菊とルートヴィヒは優しくフェリシアーノの肩を叩いた。
厄介な身内を持つ三人の友情がますたす堅くなる。
――今日もいい天気だった。
**************
ビラブド君とギルギルと嫌が応にも巻き込まれる人々。
なんということはない。振り回される三人と、ロマーノのナンパが書きたかった。それだけ
2010/01/02
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