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AST(00中編)
どなられる
「このクソガキ!」


部屋中に響いた怒鳴り声にニールは怯えた様にビクリと震えた。



***



溯ること数分前。
お絵描きをしているニールを微笑ましく見ながら、アレルヤは洗濯物を畳んでいた。

ピンポーン

すると珍しくチャイムが鳴った。
ニールも顔を上げる。
「誰だろう?」

ピンポンピンポンピンポポポポポポ……

「うわっ!」
激しい連打に慌ててアレルヤがドアを開ける。
すると凄い勢いでライルが乗り込んできた。
「ライル!?」
影からビクビクと覗いていたニールは、ライルとわかると嬉しそうに駆け寄る。
「!」
しかし、ギッと強く睨まれて固まった。


「このクソガキ!」


突然怒鳴られてニールはビクリと震える。
アレルヤもびっくりして今にも飛び掛かりそうなライルを止めた。
「ちょっ!ライル!」
「ハレルヤに何言いやがった!」
「あ……」
その言葉にアレルヤは前回のことを思い出す。
(キスが……バレたからか)
しかし、あれはライルも悪いような気がする。
ニールに見られるようなシチュエーションでするなんて。
それが逆に燃えたのかもしれないけれど。
アレルヤは苦笑いするとライルに言った。
「ニールが喋れないの知ってるでしょ?」
「でも!他に誰がハレルヤに言うんだよっ」
「それは……うーん」
ずっとライルに睨まれて、ニールはポロポロと涙を零す。
「…………っ」
「泣きたいのは……こっちの方だっ」
それを見て、ライルの目からも涙がポロリと零れ落ちた。

「ええっ!?」

二人に泣かれてアレルヤは引きつった。
どうして良いのかわからずにオロオロする。


「ライル!」


その時、バターンと音がして救世主(アレルヤ的に)が現われた。
「ハレルヤ!」
ゼーゼーと息切れしながらハレルヤはライルの首元を掴む。
「お前は……人の話も聞けよっ」
「だって……っ」
どうやら話の途中で逆上して飛び出してきたらしい。
ハレルヤは深い溜息を吐いて言った。
「ショックだったのは、お前にキスされたって知って嫌じゃなかった自分にだよ」
「え……」
ライルはポッと頬を赤く染めた。
「それって……」
「ここで、言わす気かよ」
ハレルヤはニヤリと笑うとライルの手を掴んだ。
「たっぷり聞かせてやるよ……ベッドで」
「ハ、ハレルヤ」
「あ!子供がいるんだからそういうの言わないで!」
「はいはい」
咄嗟にニールの耳を塞いでアレルヤは注意する。
この二人は教育上宜しくないことこの上ない。


「さてと、」
ハレルヤはしゅんとしているニールの頭を優しく撫でた。
「また今度詫びにくるから」
去り際にライルが気まずげにニールを見る。

「ニール?」
アレルヤが抱き上げても怒鳴られたショックからか、肩に顔を埋めて愚図る。
やがてドアが閉まる音がして嵐は去った。


「ニール、泣かない泣かない」

しゃっくりをあげながら泣くニールの背中を擦りながら、アレルヤは溜息を吐いた。


(痴話喧嘩は余所でやってよ……)





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ライルのフォローは次回です。




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