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AST(00中編)
なみだ(1)
朝起きてアレルヤは愕然とした。


「ニール?」


玄関にはニールの靴が揃っているし、勿論鍵もしっかりとかかっている。
「・・・え」
それなのに、肝心なニールの姿が消えていた。

「ニール!?」



***



トイレやクローゼット、バスルームも探した。
「ニール!出ておいでっ?」
何度も名前を呼んだり、ご飯だといっても部屋には静寂が流れるだけだ。
アレルヤは真っ青になった。
今までこんなことは一度もなかった。

(いや・・・あれはまだニールがここに来たばかりの頃)

そのときは部屋の隅や、アレルヤの目の届かないところでひっそりと過ごすことが多かった。
まるでその頃に戻ったみたいな不安が襲ってくる。

昨日までは普通に過ごしていたのに。


「見つかったか?」

ガチャリと開いたドアにアレルヤははっと我に返る。
そこには心配そうな表情のハレルヤとライルがいた。
二人を見て、アレルヤはほっとして泣きそうになる。
「泣くな!!」
「ほら、探すぞっ」
ライルに頭をはたかれてアレルヤは頷いた。
ハレルヤは溜息混じりにアレルヤに確認する。
「とにかく、この部屋からは出てないんだな?」
「うん・・・」
それは確かなのだ。
玄関の鍵は就寝時には完全に施錠する。
ニールには手が届かないし、開け方もわからないだろう。
「よくもまあ、このせっまい部屋で遭難するよな」
ライルの言葉にアレルヤはがっくりと肩を落とした。
「菓子で釣ったら?」
「それは試し済み・・・」


「とにかく探すしかねぇな」

ハレルヤの言葉にアレルヤとライルも頷くしかない。
三人で手分けする程の広さでもない。
ここは三人一緒に端から丁寧に探していくことにした。



***



「・・・・いねぇっ!」


三十分後、三人はげっそりとしていた。
三人なら楽勝と思っていただけに甘かった、と頭を抱える。
「ど、どこかに嵌っていて抜け出せなくなってたらどうしようっ」
「怖い想像するなっ」
「だって!!」
アレルヤとライルが言い争っている間、ハレルヤはずっと考えていた。
部屋はほぼ探したはずなのに見つからないということは、二つの理由が考えられる。
(ひとつはニールはここにはいない)
しかし、その可能性はないに等しい。
(あとは・・・・盲点があるってことだ)
子供の目線で考えなければいけない。
大人には見えていない、もしくは気付いていない盲点があるのかもしれない。

ハレルヤは先日作ったハロのぬいぐるみもなくなっていることに気付いていた。

きっと、今頃ニールはハロを抱きしめながら不安でいっぱいだと思う。
自分から隠れていながらも、見つけてほしいと思っているに違いない。

そのとき、アレルヤが何かに気付いたようにしゃがみ込んだ。
「アレルヤ?」
「・・・・・」
それから玄関の方をじっと見つめる。
そんなアレルヤに、ハレルヤもはっとした。
「そこかっ!?」
出発地点の玄関はチェックが甘くなる。
下駄箱は探したが、その下の僅かな隙間は見落としていた。
慌ててアレルヤがそこを覗き込んで、息を飲む。


「ニールッ!!」


ハレルヤとライルが駆け寄ると、アレルヤの腕の中にはぐったりとしたニールがいた。


床にポタ、とめいぐるみが落ちた。









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珍しくちょっと続きます・汗

長くなったのと、三十話目前なのでチラチラと過去話も★









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