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AST(00中編)
くれよん
「そういえば、クレヨン新しくしたんだな」


御絵描きをしているニールの横でコーヒーを飲みながら、ハレルヤは赤いクレヨンを手にして言った。
「前のは無くしたのか?」
「うーん、それが……」
アレルヤは困った様な表情で溜息を吐くと、苦笑いする。
「食べちゃったんだ」
「はあっ!?」
驚くハレルヤに、アレルヤはガックリとうなだれた。
「僕が目を離したから悪いんだ……ちゃんと御絵描きしてたし、まさか食べるとは思わなくて」
アレルヤが覗き込んだ時には、ちょうど口に咥えたところだったらしい。
大泣きして嫌がるニールに謝りながら、口からクレヨンを取り出して何とか飲み込ませずに済んだ。
「暫く愚図って大変だったんだよ」
アレルヤはニールを見つめると、良い子良い子と頭を撫でた。
「勿体ないけど危ないから処分したんだ」
「で……また買い与えて良いのか?」
「ああ、このクレヨンね」
アレルヤはクレヨンが入っている箱の蓋をハレルヤに見せる。

「みつロウで出来たクレヨンなんだ」

「へえ……」
見てみれば確かに【口に入れても安全なみつロウクレヨン】と書いてある。
「でも、よっぽどショックだったのかあれから口に入れたりしないけどね」
「………食い意地はった奴」
ハレルヤはニールの頭をグリグリと力強く撫でた。
すると、嬉しいのかキャッキャッとニールがハレルヤの手にしがみつく。
そして、クレヨンをグイグイと押し付けた。
「あー?」
ハレルヤはクレヨンを受け取ると、紙にプリンの絵を描く。
「ほらよ」
「…………っ」
プリンなんて簡単な絵でも、ニールは『はわ〜っ』とキラキラした目で紙を見つめた。

子供は単純で可愛いな、とアレルヤとハレルヤが見ていたその時。



「「!!!?」」



バックリとニールが紙に噛み付いた。
そしてモグモグと口の中に入れようとし始める。
「ニールっ!」
「このバカッ!」
二人に怒鳴られたニールはビクリと震えて……一気に涙を浮かべる。
しかし、ポロポロと泣きながらも紙は咥えたままだ。


「ニ、ニール?ほら、本当のプリンあげるから」
優しく微笑みながら言っても、一度取り上げられているからかブンブン首を振って離さない。
「ライル!?今何処だっ!?早く来てプリン作ってくれっ!」




結局。
ハレルヤに呼び出されたライルが(呆れながら)作った特製プリンが出来るまで、ニールは紙のプリンを離さなかった。








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その後、ニールはプリンを食べてご機嫌になりました。
「蜜蝋クレヨン」はテレビで見たので、ネタにしました。

※ちなみに『ははのひ』から数日経ってます。




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