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AST(00中編)
プリン
「お疲れ様でしたっ」


今日は思いの他、帰りが遅くなってしまった。
アレルヤは慌てて身支度を整える。
「アレルヤ!」
「はい?」
名前を呼ばれて振り返ると、店長が白い小さな箱をテーブルに置いた。
「これ、坊やに持っていってやれ」
余ったプリンだ、そう言ってニヤリと笑う。
「有り難うございますっ」
「気をつけてな」
「はいっ」

アレルヤはマフラーを巻いて店を飛び出た。
プリンが崩れないように、箱を持つ手は慎重だ。

(ニール、喜ぶかなあ)




***



「ただいまっ」



玄関の鍵を締めていると、パタパタと足音が聞こえた。
振り返ると、頬をリンゴのように赤く染めて3、4歳くらいの男の子が立っていた。
アレルヤは目線が同じくらいになるように、屈んで男の子…ニールの頭を撫でる。
「良い子に御留守番してた?」
「…っ」
ニールはコクコクと何度も頷く。
その頭を何度も撫でてあげてから、アレルヤは貰ったプリンを取り出した。
「はい、お土産」
「!!」
パアッと嬉しそうな表情になる。それを見てアレルヤも嬉しくなった。
しかし、プリンに直接手を伸したニールをアレルヤは止めた。
「ちょ……っ、手掴みで食べたらだめ!」
「…っ」
ニールは目を丸くしてから、うるるっと涙を浮かべる。
アレルヤはその小さな身体を抱き締めると、優しく抱き上げた。
「ちゃんとスプーンで、ね?」
うんうん、と首を縦に振る。
アレルヤはニールをリビングのソファーに下ろすと、キッチンから柔らかい素材で出来たスプーンを渡した。
「はい」
ニールはスプーンをギュッと掴むと、あぐあぐとプリンを口に運んだ。
その瞬間、キラキラと瞳が輝いた。
多少プリンがテーブルに零れたけれど、そのことはアレルヤは何も言わなかった。




プリンが半分程になった頃だろうか。
ふと、ニールの手が止まった。

アレルヤは首を傾げる。
「ニール?美味しくない?もうお腹いっぱい?」
「…」
ふるふると否定してから、ニールはアレルヤにスプーンを差し出した。
じーっとアレルヤを見つめてから、プリンをアレルヤのところまで持っていく。


「…半分くれるの?」


こくり、と頷く。
「良いんだよ…全部ニールが食べて」
「…」
ニールはプリンをたっぷり掬うと、アレルヤに再度そのスプーンを差し出した。
アレルヤは笑うと、大きく口を開ける。
「あーん」
カポ、とスプーンが差し込まれた。
甘いカスタードの味が口の中に広がって溶ける。

「有り難う、ニール」

嬉しそうにニールも笑った。


「美味しいね」
コクコク



アレルヤはいつの間にか仕事の疲れも忘れていた。




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まったくのパラレルですいません;
アレルヤはレストランのホール(見習いだから)


ニールはアレルヤの息子ではありません(笑)




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