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家族ゲーム(00連載)
15(3)
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「……………」


次の日の朝、ライルが起きるといつも通りニールがキッチンに立っていた。
「おはよう、ライル」
「ん……」
ぼーっとライルはニールを見た。
やけに白いものが視界をちらつく。
何か重要なことを忘れている気がするけれど、起きたばかりで頭に靄がかかっている。
「……………………、っ!」
それが包帯だと認識した瞬間、ライルは声を上げた。
「ニールっ!!」
「うわっ」
トーストを皿に乗せていたニールはビクリと震えてライルを見た。
「急になんだよっ?」
「ニールこそ!なにしてるんだっ!」
「なにって……」
朝ご飯の支度、とあっさりと言われてライルは肩を落とす。
「怪我してるんだからニールがそんなことしなくて良いよ」
「でも……」
トーストくらい、と呟く。


「ほら、まず着替えよう」
片手が使えないニールの着替えはライルが手伝わないと無理だ。
ニールをソファーに座らせて、ライルはその足元に跪く。
「はい、左手上げて」
「うん……」
「足も少し上げて」
「はい……」
白い肌に悪戯したくなったが、ライルに着替えさせてもらってることにニールが落ち込んでいたので、苦笑して止めた。
「ライル……面倒かけて、ごめんな」
「昨日からしつこいよ」
「だって」
ライルは優しくニールの頭を撫でた。
「もし、俺が怪我したら……ニールはほっといてくれる?」
ぶんぶんと首を横に振る。
「俺も、俺がしたくてしてるの」

(ニールの世話……アレルヤに譲ってたまるか)

本音ではそうも思ったけれど、あえて言わない。
「今夜はお風呂に入れてあげるから」
「うんっ」
漸く笑顔になったニールにライルはほっとする。
「さて、着替え完了」
「サンキュ」

この時、着替えさせたことをライルは後悔することになる。
パジャマのままだったら、ニールが外に出ることは無理だったかもしれなかった。




***



「大丈夫ですか?」
「毎日聞くなよ」
相変わらず心配そうなアレルヤにニールは苦笑する。
「いってきます!」
「……じゃあな」
「いってらっしゃい!」
アレルヤとハレルヤの食生活を気にしつつ二人を大学へ見送ると、後ろ髪を引かれるといった感じにライルが出てきた。
「………いってきます」
「いってらっしゃい!」
チラチラと振り返りながら(途中でハレルヤに前方不注意を注意されていた)仕事へ行くライルも見送ってから、ニールは部屋で一人溜息を吐いた。

「……大人しく、て言われても」

病気なわけじゃないし、とテーブルにグタリと伏せる。
喫茶店に行けばよかったけれど、手伝いもろくに出来ない身で一日中迷惑はかけられない。
「今日は………売り出しの日なんだよな」
買ってもこの腕じゃ作れないけれど、冷凍しておけば問題ない。
(このまま部屋にいたら……気が滅入るだけだ)

よし、とニールは立ち上がった。
(買い物に行って、喫茶店に顔出して……ライルに連絡して一緒に帰ろう)

ざっと計画をたてて、ニールは財布を掴んだ。




***




それから一時間後、ニールは困っていた。
いつもと同じ気で、薄暗い路地裏を通ったのが悪かった。
近道なのだが裏目に出たらしい。


「金置いて行けよ」


ニヤついた男三人に囲まれ、恐喝されている。
今までそんなことがなかったため困惑した。
やはり片手が使えないのが一目瞭然だからだろう。

(実際は右目も見えてないしな……)

本来なら争いは避けて金を置いていくのが得策だ。

(………どうするか)



「早くしろよっ!」
「………っ」
耳元でガンッという音が響いた。
「痛………」
どうやら殴られたらしい。
ぼんやりしていたのと、右側からだったため見えていなかった。
(あー……もう)


本当に面倒だ。


ニールは苛々としてきた。
色んな鬱憤やストレスが一気に膨れ上がる。


「痛ぇんだよっ!」


ニールは思い切り右足で、殴ってきた男を蹴り上げた。
「ぐわ……っ!」
油断していたのか簡単に吹っ飛ぶ。
懐かしい感覚。
昔、ストリートにいた頃の感覚だ。
肉を断つ音や骨を砕く音が蘇る。
「あー……やばい」
ニールはニヤリと笑った。





「スッキリする」







ニールの笑みに、男達は息を飲んだ。


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ズルズル続いてすいません…。




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あきゅろす。
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