家族ゲーム(00連載) 12 「ニール?」 ライルがハニーミルク片手に寝室へ戻ると、ニールはぼんやりと窓から外を眺めていた。 最近悪天候が続いているため、今夜の夜空には月どころか星一つ見えない。 明日も太陽は臨めないみたいだ、とライルは溜息を吐く。 「風邪ひくよ」 「ライル」 まだ微かに熱くほてっているニールの裸体に、ライルはペールグリーンのタオルケットを巻き付けた。 「夜風はまだ冷たいから、ベッドに戻ろう」 「ああ」 ライルの言葉にニールは笑顔で頷く。 どうやら物思いにふけていたのではないらしい。 ライルは内心ほっとする。 「はい」 「サンキュー!」 「熱いから気をつけて」 ライルがハニーミルクを手渡すとニールは頬を緩ませた。 ニールはライルが淹れてくれるハニーミルクが大好きだった。 ライルが自分にだけ作ってくれる、秘密の飲み物。 「うまっ」 「良かった」 温かくて甘くて、気怠い身体にじんわり染み渡る。 「甘い薫り……」 ニールを後ろから抱き締めながら、ライルはその首筋へと鼻を押し付けた。 犬のような仕草にニールは笑う。 するとそのまま甘く噛まれて、ニールはふるりと震えた。 「あ、んん……悪戯すんな」 「んー……」 再熱しそうな身体を理性で押しとどめながら、ニールはライルの頭を小突く。 「さっき……何見てたの?」 「え?」 「外、見てただろ?」 ニールは首を傾げてから、ああと手を打った。 「星、見えないなあと思ってさ」 「ああ、明日も天気悪いからね」 「そうなのか」 洗濯物が溜まるなあ、とニールが愚痴る。 大したことない理由にライルは苦笑いした。 一瞬感じた胸騒ぎは気のせいだ。 (ニールが……不安そうに見えたから) ぼんやりと外を眺めていたニールが、泣きそうな表情に見えたのだ。 「今、洗濯物増やしちゃったしね」 「げっ」 床にはグチャグチャになったシーツが丸まっている。 「……風呂場ですれば良かったな」 ニールは深い溜息を吐いた。 (左目がぼやけるのは気のせいなのか) ---------- 星が見えないのは自分だけではなかったと、ほっとするニール★ 閑話でも良かったかもしれません; [*前へ][次へ#] [戻る] |