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■リクエスト企画2010■\(^o^)/
甘露様【AST】
【アレルヤ達4人でのスキー旅行話】






店長から借りてきたワンボックスカーの中で、アレルヤはニールに両手を挙げて見せた。
「ニール、バンザーイ!」
「!!」

ズボッ

素直にアレルヤの真似をして万歳をするニールに、スキーウェアを着せる。
いつもと違う服を着せられて、ニールは目をパチパチさせた。
「はい、これも着けようね」
「?」
真っ白なウェアにピンクのふわふわ耳あて。
手袋もピンク色だ。
ウェアはアレルヤが、耳あてと手袋はハレルヤとライルが見立てた。
「うわっ、可愛いっ!」
「もこもこだな」
どうしてモコモコした子供ってこんなにも可愛いんだろう?
三人とも心の中で悶える。

「着いたぞ」

スキー場指定の車庫に車を停めて外へ出ると、渇いた冷たい風が雪を運んでくる。
「……っ」
ひんやりとした空気にニールは目を細めた。
「ほら」
そんなニールの首にライルがぐるぐるとマフラーを巻く。
顔の半分が埋もれたニールは、ぷはっと息をした。
「更にモコモコになったな」
「ここからは少し歩くぞ」
歩道は凍結防止剤が撒かれていたがそれでも危ない。
その上ニールは、珍しい風景にキョロキョロと余所見しては転びそうになる。
「前見て歩け!」
ライルの言葉にニールはあわあわと頷いた。
それでも周りが気になるのか、そわそわとしていて可哀相なのでアレルヤが抱っこする。
「ニール、寒くない?」
コクコク
頷くニールに、ライルが前方を指差した。
「ほら、スキー場に着いたぞ」


「!!」


初めて見るスキー場に、ニールは頬を真っ赤にしてポカーンと口を開けた。
「馬鹿面だな」
それを見てハレルヤは苦笑いする。


何処までも広がる真っ白なゲレンデ
軽快な曲
色とりどりのウェア
人が行き交うリフト



ズラリと無表情に並ぶ雪ダルマ
転ぶ人々



「…………」
ニールはうるっと瞳を潤ませると、アレルヤにヒシッと抱き着いた。
「えー!?」
「またか……」
「プール再来」
保護者三人は深い溜息を吐く。
「何が嫌なのかなあ?」
「………っ」
ニールは涙目で雪ダルマを指差た。
ライルは思わず首を傾げる。
「あ?むしろ雪ダルマは可愛いだろ」
「まあ……集団でこっち見てると異様だな」
「はは、」
何故か雪ダルマは一直線に、全て同じ方向を向いていた。
「まあ、俺達はここに用はねぇ」
今日はニールに雪遊びを体験させるのが目的だ。
そのためには安全な『子供コース』へ行かなくてはならない。


ハレルヤはコース入口で立ち止まると、少し離れた傾斜を指差した。
「ソリ借りてくる」
「うん」
アレルヤが手を振るとニールもニコニコと手を振る。
「結構混んでるな」
「そうだね」
ハレルヤが来るまで、アレルヤとライルはニールに雪ダルマの作り方を教えることにした。
勿論、ミニチュアなのだが。
「こうして……僕の雪玉をライルの雪玉に乗せると」
「!?」
「雪ダルマになっただろ?」
コクコクコクコク
ニールは可愛い雪ダルマにふにゃふにゃと笑った。
アレルヤとライルもほっとする。
しかし、それも束の間だった。



「ハレルヤ、遅い、な……」



ライルがソリ貸し出し場所を見ると固まる。
何かと思ってアレルヤも振り返ると、やはり固まった。
「?」
そんな二人にニールは首を傾げる。
ハレルヤは綺麗な色のウェアを着た女性二人に囲まれていた。
確かにハレルヤはゲレンデでも目立つ。
スキーウェアでもわかるくらい鍛えられた身体。
ゴーグルがまた憎らしいくらい似合っていた。
(………カッコいいけど、)
ハレルヤはあからさまにうっとうしそうに無視している。
それでも、ライルはぎゅっと唇を噛んだ。
「……ムカつく」
「ライル……」
アレルヤはハラハラとハレルヤとライルを交互に見る。
(ハ、ハレルヤ!戻ってきてよっ)
しかしその時、眉をしかめたライルにニールが勢いよく抱き着いた。
そして、いいこいいことライルの頭を優しく撫でる。
「ニール……」
じんわりと視界が潤んだ。
「よしっ!」
ライルは笑うと勢いよく立ち上がる。
そしてニールの頭をポンポン叩くとハレルヤを指差した。
「ニール!ハレルヤのお手伝いしてこい」
「!!」
お手伝いという言葉にニールがキラキラ輝く。
「ライル?」
アレルヤが首を傾げるのと同時に、ライルは大声でハレルヤに向かって叫んだ。



「パパー!早くぅ!」



アレルヤもハレルヤも、周りの人も、全員がギョッとする。
「ほら、ニール!」
訳はわからないが、背中を押されてニールは嬉しそうにハレルヤの元へと走った。
「!!」
そして雪に足を取られながらも到着する。


ハレルヤが高々とニールを抱き上げたのを見て、ライルは嬉しそうにはにかんだ。






***



「お前なあっ」
ハレルヤは真っ赤なソリを片手に戻ってきた。
そのソリの端を、ちょこんとニールが持っている。
どうやら『お手伝い』らしい。
「ニール、偉いねっ!」
アレルヤが褒めるとニールはテレテレと笑った。
その間も二人の言い争いは続く。
「ナンパなんかされてんじゃねぇよ……」
「あぁっ?」
「何話してたんだよっ?」
「泊まってるホテル聞かれたんだよ」
「ええっ!」
ハレルヤの言葉に驚いたのはアレルヤだ。
(最近の女性は積極的だなあ…)
そんなことを思いながら、苦笑いする。
ハレルヤは溜息を吐いてライルに言った。
「お前はともかく、俺やアレルヤみたいに北国出身には見えない奴は珍しいんだろ」
「「…………」」


鈍い。


普段聡いのに、何故こんなにも恋愛絡みに鈍いのか。
でも、そんなところが可愛くて。
ライルは笑ってしまった。


(仕方ねぇなあ……)





「ニール、これがソリだぞ」
漸く不穏な空気が治まり、ハレルヤはソリを雪の上に置いた。
ニールはボーッとそれを見つめる。
「乗れよ」
ポンポンとライルがソリの上を叩いた。
「あの上級者コースから思いっ切り押してやるからさ」
「「ライル!」」
「?」
「気持ち良いぞ」
コクコク
「きっと生きた心地しないぞ」
コクコクコクコク
ニヤニヤしながら酷いことを言うライルに、ニールはいちいち真剣に頷く。
「……学習能力ねぇな」
何度もライルに騙されているのに、ニールは懲りていないようだ。
「それだけライルのことが好きなんでしょ」
「まあな」
そして、ライルもニールのことが好きなのだ。




結局、アレルヤがニールをソリに座らせるとハレルヤが斜面を引っ張ってくれた。
「代わろうか?」
「いや、大丈夫だ」
確かに軽々と引っ張っている。
「ニール、楽しい?」
「!!」
ニールはコクコク頷いて、興奮したようにガタガタとソリを揺らした。
「落ちるぞ」
ハレルヤが笑いながらスピードをあげる。
キャーとニールがはしゃいだ。
それをライルが羨ましそうに見ているのには、アレルヤはこの際突っ込まないでいた。

「さてと、ここくらいで良いか」
調度良いくらいのなだらかな斜面でハレルヤは止まる。
「アレルヤ、乗れよ」
「ええっ!」
ニヤリと笑うハレルヤとライルにアレルヤの顔が引きつる。
「ううっ」
アレルヤはソリに乗ると、ニールを膝で固定した。
ニールは振り返ってアレルヤを見ると、嬉しそうに笑う。
その笑顔にアレルヤも笑った。
瞬間。



「グッドラック!」



「う、わっ」
急にソリが前へ進む。
「わわわ」
ザザザッと雪が削れる音がした。
緩やかに流れていく雪景色。
遠くに雪ダルマ達が見えた。
「………っ!」
「ニール!楽しいっ!?」
アレルヤが大声で聞くと、ニールは満面の笑みで何度も何度も頷いた。
「僕もっ、楽しいっ!」
「!!」
二人で束の間のソリを楽しむ。




(ところで……どうやって止まるの?)







***



それから、ライルと滑りハレルヤと滑り。
またアレルヤと滑り。
斜面を何往復かする頃には、ニールは疲れたのかアレルヤの足にしがみついた。
「ニール?」
「…………」
ぐずぐずと愚図り始めたニールに、三人は苦笑する。
「眠いのか」
「そうみたい」
アレルヤが抱き上げると、直ぐにウトウトとし始めた。
ハレルヤはソリを持ち上げると時計を見る。
「そろそろ帰るか」
「そうだな」
明日は三人共仕事なのだ。
日帰り強行ツアーで、尚且つヘビーなスポーツをした身体はくたくただった。
ニールじゃなくとも、そろそろ休みたい。
「帰ったら熱いシャワー浴びてぇな」
「俺はハレルヤの熱い」
「黙れ」
すっかりいつもの二人に、アレルヤは苦笑しながらも安心した。



「じゃあ、行くか」
「帰りは運転代わるよ?」
一番疲れているだろうハレルヤにアレルヤが申し出ると、やんわりと断られる。
「お前はニール見てろ」
「お前にベッタリだな」
そう言って、ライルはニールの頬をつついた。
ニールは、むにむにと口を動かすとアレルヤの胸元に顔を埋める。



「明日、驚くかな?」
「………泣くんじゃないか?」
「こいつのベッドの周りを囲むんだ!」



ライルのお土産袋の中には、大量の雪ダルマのぬいぐるみが入っていた。
目覚めたニールが、喜ぶか泣き叫ぶのかは今は誰にもわからなかった。

















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甘露様>>>
素敵なリクエストを有り難うございました(*´∀`*)
ギリギリタイムリーなネタとして書けてよかったです(汗)
モコモコニールが書けて楽しかったです!
きっと羊みたいな感じなんだろうなあ(笑)






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あきゅろす。
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