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■リクエスト企画2010■\(^o^)/
シャオ様【AST】
【アレハレの誕生日にライルと手作りバースデーケーキをプレゼントする子ニール】





その日、ニールはライルのマンションにいた。
目の前の大理石の上には、ズラリとお菓子作りに使う材料と器具が並んでいる。
「よし、結べたぞ」
「!!」
ニールはライルにくまさんエプロンを着させて貰って嬉しそうに笑った。
「今日はお前がケーキを作るんだぞ」
コクコク
「まあ、簡単なレシピにしたし分量は量り済みだから」
「?」
本格的なものではなくて、どちらかと言うとホットケーキの豪華版のようなものだ。
バースデーケーキにしては地味だが、その分は愛情でカバーすることにする。
混ぜて型に入れて焼いてデコレーション、簡単なようだがニールには初のケーキ作りだ。
「頑張れよ!ニール」
「!!」
ニールは頬を昂揚させて頷いた。






「まずは玉子の殻割りだ」
ライルはボールの上で、丁寧にニールに玉子を割って見せる。
「わかったか?」
コクコク
ニールはペカーッと玉子を頭上に持ち上げて気合いを入れた。
「コンコン、て」
「………」
ライルの教え通りにニールは慎重に玉子をボールの端にぶつける。
「?」
しかし中々ヒビが入らない。
「もう少し強くしろよ」
コクコク
言われた通り強めにカンカンとすると、今度はぐちゃりと玉子が割れた。
「………っ」
慌ててニールは両手で零れるそれを受け止める。
すると、ドロリと中身がボールになんとか落ちた、と同時にパラパラと白いものも入った。
「お、おー……殻入ったけど」
「!!」
はわっ!とニールは目を丸くする。
しかし、ライルは楽観的だった。
「まあ、いいか」
カルシウムカルシウム、と頷く。
特にハレルヤはいつもピリピリしているのでカルシウムは必要だと思う。
プロのパティシェも身内には大雑把だった。
ニールはあわあわと殻を掬ったが、底に沈んだものは無理だった。
「殻食っても死なないから」
多分な、と笑うライルにニールは不安そうに底に沈んだ殻を眺めた。



それから、粉や砂糖、バターなどもボールへ入れる。
「これを混ぜて」
動かない様にライルが固定しているボールを、ニールが掻き混ぜる。
粉が混ざっていく感じが楽しいらしくニールの口元が緩んだ。
ライルも思わず笑みが浮かぶ。
(そういえば……)
多少周りに飛ばしながらもグルグルと必死にひたすら混ぜるニールを見ながら、ライルはふと気になった。


「お前、誕生日は?」


「?」
「誕生日はいつなんだ?」
ライルに聞かれて、ニールは首を傾げる。
(知らないのかよ)
予想していたものの、ライルは眉をしかめた。
しかし、ニールから悲壮感のようなものは感じられない。
特に気にせず、楽しそうに生地をグルグルと掻き混ぜている。
誕生日といえば子供が楽しみにしているイベントのひとつなのに。
悲しむことすら知らないニールに胸が軋む。
「じゃあ、俺が決めてやる!」
「!!」
そう言うと、ニールはキラキラとライルを見つめた。
ライルはニヤリと笑うとニールの頭をポンポンと叩く。
今更いつかなんて考えるまでもない。
ライルはもう決めていた。


「三月三日!俺と一緒だ」


「!!」
「そう、一緒」
ライルの言葉にニールは興奮したように頬を昂揚させて満面の笑みを浮かべる。
「ハレルヤとアレルヤだけ一緒なんてずるいよな」
コクコク
「俺とニールも一緒にしような」
コクコクコクコク



ニールはライルにぎゅっとしがみついた。






***



ライルのマンションの玄関前で、アレルヤとハレルヤは立ち尽くしていた。
三時に呼び出されたのは良いが、準備に手間取っているらしい。
「ハレルヤも今日休み?」
「いや、午後休」
午前はビッチリと働いてきた。
ライルが一日休みを取っていたためか、レストランはいつもより忙しかった気がする。
それでも帰宅する時は皆『おめでとう』と送り出してくれた。
「お前は何してたんだ?」
「んー」
アレルヤは一日休みを貰っていたため、ニールと目一杯遊ぶ予定だったのだが。
突然ライルがニールをさらっていってしまった。
「久し振りに一人だったよ」
「そうか」
「前は当たり前だったのにね」
アレルヤが笑うとハレルヤも笑った。



「「 誕生日おめでとう 」」



同時に言って、また同時に笑う。
ニールが来てから、こうして穏やかに二人で笑い合うことが出来る様になった。
(うん、今も昔も可愛い弟に変わりはないよね)
アレルヤは内心思う。
口にしたら殴られそうだけど。


その時、急に玄関のドアが開いた。
「お待たせ!もう入っていいぞっ」
ライルにグイグイ引っ張られて、ハレルヤは苦笑いする。
その後ろを微笑しながらアレルヤが着いて行く。
部屋にはいつもより更に甘い香りが漂っていた。
リビングに入ると、広いテーブルの上には花が飾られていた。
壁にはニールが描いた絵がたくさん飾られている。
(可愛いなあ)
なにが描いてあるかはわからないが、抽象派だと思えば天才的な絵だ。
パステルカラーがとても可愛くて、部屋の雰囲気も明るくなる。


「ハレルヤ、アレルヤ!誕生日おめでとうっ!」


パラパラと紙吹雪がアレルヤとハレルヤに降り注いだ。
「ああ」
「有り難う!」
すすめられるままにイスに座ると、ライルがキッチンへと駆けて行った。
「ほら、ニールっ!」
「………」
「大丈夫だって」
アレルヤとハレルヤがキッチンを見ると、チラチラとニールがこちらを見ている。
目が合うと、パッと隠れた。
そしてまたチラリと顔を覗かせる。
(これは………)
(恥ずかしがってるポーズ)
「ニ、ニール?」
「こっち来いよ」
二人で呼ぶと、ニールはもじもじしながら出てきた。
「落とすなよ?」
ニールの手にはバースデーケーキの乗った皿がしっかりと持たれている。
「……っ、うわっ!」
「凄いな」
「だろ?」
最後はライルによって二人の目の前にケーキが置かれた。


スポンジはペシャリと崩れているしクリームも泡立てが足りなくて緩いが、真っ赤なイチゴが輝いて見えた。


ニールが作ったのは一目瞭然だった。
「ありがとう…っ!」
アレルヤの顔が泣きそうに歪む。
「う、うれし……っ」
「……馬鹿」
アレルヤが泣くとニールが驚くため、ハレルヤがそれを小突く。
慌ててアレルヤは涙を拭った。
「ありがとな、ニール」
ハレルヤに撫でてもらったニールは、ふにゃふにゃと笑ってライルを見た。
ライルも先生としては嬉しい限りだ。
「良かったな」
ライルの言葉にニールはコクコク頷く。
「このチョコプレートもニールが書いたんだよな」
ケーキの真ん中には星型のチョコプレートが乗っていた。
テレテレ笑うニールに、アレルヤとハレルヤもつられて微笑む。
微笑みながらもプレートを解読しようと試みた。
(なんて書いてあるのかなあ……ハレルヤ)
(……わかるか)




「いただきます!」



綺麗に切り分けられたケーキを、まずアレルヤが食べることになった。
トロリとクリームが零れるのを気をつけながら口に運ぶ。
その横ではドキドキしながらニールが見守っていた。
「ん」
噛んだ瞬間、部屋に微かな音が響く。
調度続けて食べようとしていたハレルヤの手が止まる。
「アレルヤ…………ガリッて言ったぞ」
ケーキにそぐわない音に固まった。
「殻かな?」
しかし、想定の範囲内なので特にアレルヤは驚かない。
そのままガリガリと噛み砕いて飲み込む。
「うん!美味しいよっ!」
「………っ」
しかし、うるうるっとニールは瞳に涙を浮かべヒシッとアレルヤに抱き着いた。
「大丈夫大丈夫っ」
アレルヤはニールの頭を撫でると笑う。
ライルもヒラヒラと手を振って笑った。
「カルシウムカルシウム!」
「お前が言うな……」
呆れたように言ってから、ハレルヤもケーキを口に運んだ。
「あ、美味い」
「!!」
ニールの表情が輝く。
(多少ジャリジャリするけど……)
正直、想像よりかなり美味くて驚いた。
ライルのレシピのおかげもあると思うが、良く作ったなあと感心する。
「最高のプレゼント、有り難うな」
「俺からのプレゼントは夜にベッド「 黙れ 」」
「?」
ライルが言い切る前にハレルヤは遮った。
首を傾げるニールにアレルヤは慌てて話をかえる。


「そういえば、来月はライルの誕生日だね」


その言葉に何故かニールがテレテレもじもじする。
「ニール?」
不思議そうなアレルヤとハレルヤに、ライルが言った。
「ニールの誕生日も三月三日なんだよな?」
コクコクコクコク
嬉しそうにニールは何度も頷く。
「………」
アレルヤとハレルヤは一瞬言葉に詰まったが、直ぐに全て理解した。
「そうか」
「ライルと一緒かあ」
良かったね、とアレルヤが言うとニールは嬉しそうにはにかむ。
「何が食べたいか考えとけよ」
ハレルヤの言葉に、ニールより先にライルが喜んだ。
「美味いもの期待してるからな!」
「お前に言ったんじゃねぇよ!」
「はは、」
「ニールも期待してるってさ、アレルヤ」
「え?」
「なー?」
ライルの言葉にニールも頷いた。
アレルヤは胸にほんわりとした温かさを感じる。
「僕も頑張るねっ!」
コクコクコクコク




今度アリーに美味しいプリンの作り方を教えてもらおうと、アレルヤははしゃぐニールを見ながら思った。








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シャオ様>>>
シャオ様もKinKiお好きなんですねっ!
うわっ、嬉しいです(*´∀`*)
本当に擦れ違ってたりするかもしれませんね!

お風呂ネタもなかなか心ときめきましたっ!
アヒルで遊んだり〜!

ライルの誕生日も少しだけ絡めてみましたが、結局アレハレメインの方にさせていただきました<(__*)>




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