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■リクエスト企画2010■\(^o^)/
はる様【AST】
【ニールとライルのほのぼの話】





「ニール!お迎えが来たよっ」


アレルヤの言葉に、ニールはパタパタと玄関へ駆けていく。
するとそこには腕組みをしたライルが立っていた。
「今日は俺が留守番相手だからな」
コクコク
「ちゃんと言うこと聞けよ」
コクコクコクコク
ライルの言葉にアレルヤとハレルヤが呆れた様に溜息を吐く。
「ニールはいつも良い子でしょ?」
「お前こそ苛めんなよ?」
「煩い!双子!」
「?」
赤くなって怒鳴るライルに、ニールは首を傾げた。




「じゃあね!ニール、ライル」
「行って来るからな」
仕事へ向かうアレルヤとハレルヤに、ニールはぶんぶんと手を振る。
「さてと、」
二人を仕事へ送り出してから、ライルもアレルヤに借りたアパートの鍵を閉めた。
今日はライルのマンションで留守番の予定だ。
約束の時間になったら、今度はアレルヤが迎えに来る。
「ニール、行くぞ」
ぼーっとアレルヤ達が歩いていった方向を見ていたニールは、ライルの呼び掛けに頷いた。
「迷子になるなよ?」
ニールは再度コクコクと頷いて笑う。




二人で歩いてマンションまで向かうのも大分慣れた。
面倒だと思っていたときもあったが、今ではすっかり馴染んでしまっている。
(………俺も末期だなあ)
チラリと目線を送ると、猫耳パーカーとくまさんポシェットが揺れた。
行き交う人が『可愛いわね』と表情を緩める。
その度に本人はビクビクとライルの影に隠れるのだが、それがまた微笑ましい。
ふわふわの服にぷにぷに弾力のある肌。
ライルを見てはニコニコ笑う。
誰が見ても『愛されている子供』で、ライルは何故かほっとした。


(あー!俺は他人だっていうのに!)


まるで父親になった気分だ。
急に自分の思考が恥ずかしくなって、知らず知らずのうちに歩くのが早くなっていた。
(まったく……)
溜息を吐きながらズンズンと進む。
すると、ふとニールの気配が途切れた。
そこで漸く自分がニールを置いてきたことに気付く。
「ニール!」
ててててっ
焦ってライルが振り返ると、少し離れたところからニールが一生懸命走ってきた。
そして、慌ててライルに駆け寄るとぎゅっと抱き着く。
不安げに寄せられた眉に、ライルはきゅーっと胸を締め付けられた。
「ご……っ」
言い掛けて、グッと言葉に詰まる。


(ごめんなんて言えるかっ)


立ち止まったライルをニールが不思議そうに見上げた。
そんなニールにライルは手を乱暴に差し出す。
「手!」
「?」
「繋げ」
「!!」
コクコクコクコク
嬉しそうにライルの手をニールが握った。
小さい手は温かくて、ふにふにと柔らかくて。


ライルはその手をぎゅっと握り締めた。






***




(昼飯なんにしようかな)

手を繋いでゆっくりニールと歩きながら、ライルは考える。
ついでに昼飯の買い物をして帰りたいのだが。
(思い浮かばねぇな……)
実は料理のレパートリーはあまりないのだ。
菓子的なものなら作れるのだけど、いつもパンケーキやクレープでは芸がない。
(何が食いたいか聞いてみるか)


実はニールとの以心伝心は完璧ではない。
周波の合わないラジオのように、単語が途切れ途切れに聞こえる感じだ。
しかも以前ニールの調子が悪かった時のように、どちらかの体調や心理状態次第で全く聞こえないときもある。
そもそもニールはあまり言葉自体を知らないみたいだった。


(こいつが知ってるメニューは、どれくらいだ?)
オムライス、ハンバーグ、クリームシチュー、とライルは頭の中で思い浮かべた。
「ニールは何が好きなんだ?」
「!!」
ライルの問いに、パアッと頬をピンクに染めたニールは迷わずにライルを指差した。


「はあっ?」


アレルヤやハレルヤも皆好き、という感じのたどたどしいテレパシーみたいなものが飛んでくる。
漸く意味が通じて、ライルはボッと赤くなった。
あまりにストレートな好意に、気恥ずかしくてムズムズしてくる。
顔がニヤけそうになるのを必死で我慢した。
「そ、そうじゃなくて!昼飯っ!好きな食い物っ!」
「!!」
今度はニールが勘違いに気付く。
ふにゃりと笑って『プリン』一色のテレパシーが聞こえた。
(馬鹿の一つ覚えかっ)
ライルはガックリと肩を落とす。
「……それはおやつだって何回言わせれば」
理解出来るんだろう、と溜息を吐いた。
やっぱりパンケーキみたいな甘いものを食事にしたりするのがいけないのだろうか。
食事とおやつの区別がニールにはあまりない。
しかも、食事にもデザートがついたりする日もあるのだ。


「よし!今日は激辛カレーに決定なっ」


味の強弱を付けるのが狙いだ。
且つ、カレーならライルにも簡単に作れる。
「辛いぞっ」
「?」
「でも美味いぞっ」
コクコクと頷きながらもニールは理解出来ていない。
ただ、ご機嫌なライルにニールもふにゃふにゃ微笑んだ。




***




「!!」
「………意外」
ライル特製の激辛カレーをうまうま食べているニールを、ライルは苦笑して見つめた。
本当に何でも食べるなあと感心する。
いちお激甘オレンジラッシーも作ったのだが、そちらも美味しそうに飲んでいた。
激辛と激甘、どちらも平気らしい。
(もしかして、味音痴?)
一瞬不安になったが、どうやら辛さは感じているらしく、はわはわと途中で口をパクパクしているのだがそれも楽しいみたいだ。
(味音痴じゃなくて、好き嫌いがないだけか?)
その時、ライルは以前読んだ専門書のことを思い出した。


『辛さ=痛覚』


ライルの頭を一瞬嫌な考えがよぎった。
目の前のニールは無心でカレーを食べている。
つまり、辛さに慣れているということなのだろうか。


(痛みに………)







「ほら、プリン……」
「!!」
結局ライルはニールに食後のデザートを与えてしまった。
少し悩んだけれど、凄く嬉しそうなニールを見ていたらどうでも良くなってしまった。
「美味いか?」
「!!」
ニールは頷きながらキラキラと瞳を輝かせる。
(美味しいなら良いじゃないか)
毎日プリンでも。
パティシェとしては嬉しい限りだ、とライルは開き直った。
こうなったら『ライルのプリンしか食べられない』とニールに言わせてやる、と誓う。
そして、甘い甘いものばかり与えて。
辛いものを嫌いにしてしまおう。
ライルはそれを目下の目標にすることに決めた。


「カレーとプリン、どっちが好き?」


ニールは迷わずに甘い甘いプリンを指差す。
ライルも満面の笑みを浮かべると、ニールの柔らかくて甘い頬に唇を落とした。



「俺も、好きだよ」












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はる様>>>
す、すいませんっ(汗)
ライルがツンデレで中々ほのぼのになりませんでした;




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