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■リクエスト企画2010■\(^o^)/
サチ様【AST】
【ニールが、ひとりでお留守番をする話】







「ごめんね、ニール」



アレルヤは、落ち込んだ声でそう呟きながら玄関先で眉をしかめた。
それを見たニールは、あわあわと首を横に振る。
今日は一日中、ニール一人で御留守番の日だ。
アレルヤは小さな台座を玄関先に用意しながら言う。
「僕が出ていったらチェーンかけてね?」
コクコク
「帰りにプリン買ってくるから」
「!!」
その言葉にニールが嬉しそうに何度も頷いたので、アレルヤも少しだけほっとした。


「じゃあ、行ってきます!」


『バイバイ』と大きく手を振るニールの姿がドアに阻まれ見えなくなると、アレルヤは溜息を吐いた。
安全のためとはいえ、ニールを閉じ込めているようで憂鬱になる。


「早くなんとかしないとなあ」


悩んだあまり、アレルヤは肝心なことをニールに言い忘れたことに気付かなかった。





***



ニールはドアにピッタリとくっついて、アレルヤの足音が聞こえなくなるまで耳を澄ませた。
それから言われた通りに台座に登り、チェーンをかける。
「………」
しん、と静まり返ったリビングに戻ると、ニールはいつものようにソファーに座りぬいぐるみを引き寄せた。
ふかふかとした感触に思わず頬を擦り寄せる。
「………っ」
ソファーを埋め尽す程のぬいぐるみに、ニールはニコニコと御機嫌に微笑んだ。
いつもは殆ど片付けてあるのだが、御留守番の日は寂しくないようにアレルヤが全て並べていってくれるのだ。
ハレルヤが作ったぬいぐるみは抱き着くのに調度良い。
柔らか過ぎず、固過ぎず。
以前ニールが釦に食い付いてからは、なるべく小さな飾りは付けないように、ハレルヤの配慮がなされている。
「…………」
もふもふとぬいぐるみ達の間に埋まると一気に眠くなってきた。
ほかほかと太陽のにおいがする。


大好きな大好きな人達のにおいがする。


とろとろと視界が潤んで、ニールはうつらうつらとソファーに沈んだ。
アレルヤがラストの日は、どうしてもニールもつられて夜型になってしまう。
その上、今朝は早くに起きたためまだ眠い。
微かに聞こえる鳥の声が段々と遠くなっていった。




ポーンポーン



「!!」
待ち侘びたアラーム音に、ニールはガバリと起きてデジタル時計を見る。


10:00


アレルヤに教わった数字が綺麗に並んでいるのを見て、満面の笑みを浮かべた。
急いでソファーを降りるとぬいぐるみを並べてから、パタパタとキッチンへと走る。
そしてドキドキしながら冷蔵庫を開けると、ピンク色のゼリーが入っていた。
「!!」
キラキラ輝くゼリーの中には、小さな星型に抜かれたイチゴがたくさん入っている。
綺麗で可愛くて甘い匂いがして、美味しそうなオヤツにニールはふにふにと口元を弛めた。
暫くゼリーを眺めていたが、いそいそとテーブルへと運ぶ。
ゼリーは食べにくいけれど、スプーンを使ってあまり零さずに食べることが出来た。
口の中には甘酸っぱい味が広がる。
ニールは多少ベタベタする手で口元を拭うと、またソファーへと戻った。




***




ピンポーン


それはオヤツから数時間後のことだった。
「!?」
突然響いたチャイムにニールはビクリと飛び跳ねた。
普段御留守番の時にチャイムが鳴ることはあまりない。
アレルヤからも来客のことは聞いていなかった。
ニールは大きな目を潤ませる。
先日ライルに読んでもらった【狼と七匹のコヤギ】の話を思い出す。
キョロキョロ辺りを見回しても隠れるような大きな時計や棚は見当たらなかった。
「………っ」
ビクビクしているとガチャガチャと鍵を開ける音がする。
「!!」
ニールはぬいぐるみをぎゅっと抱き締めると丸くなってソファーの影に蹲った。
恐怖に涙がポロポロと零れ落ちる。



「ニール?」



「………っ!」
聞き慣れた声にニールはリビングを勢い良く飛び出した。
台座に乗ると、慌ててドアのチェーンを外そうとする。
すると隙間からハレルヤが顔を覗かせた。
「!!」
ニールは急いでチェーンを外そうと背伸びをする。
「すぐ戻らなきゃならないから、開けなくていいぞ」
しかしニールは首を横に振ると、チェーンを開けてハレルヤに抱き着いた。
ハレルヤはその身体を抱き上げると、涙で濡れた目を指で拭いてあげる。
さっきチラリと見えた感じからでは、何かビビっていたみたいだったが。
「俺が来ること、アレルヤに聞かなかったのか?」
「?」
コクコクコクコク
「………あの馬鹿」
『ハレルヤが昼飯を届けに来る』ということを、アレルヤはニールに言い忘れたらしい。
(そりゃ、ビビるよな)
ハレルヤは溜息を吐いた。
「ビックリさせて悪かったな」
優しくポンポンと頭を撫でると、嬉しそうに笑う。
「ほら、飯」
弁当をテーブルの上にセッティングすると、ニールはキラキラ目を輝かせた。
レストランの残り物だけれど、その分食材などは豪華だ。
「本当は一緒にいてやりてぇけど」
今から怒濤のランチタイムになってしまう。
流石に長く店を空けてはいられない。
ハレルヤはお湯を入れて溶かすだけのコーンスープと、冷蔵庫に入っていたオレンジジュースをニールの前に置いた。
「一人で食べれるな?」
コクコク
「危ないから一人の時は片付けるな」
コクコクコクコク
「じゃあ、後で忘れずに」
チェーンを締めろと言う前に、ニールはハレルヤの後を付いて来る。
どうやら玄関まで見送ってくれるらしい。
ハレルヤは苦笑いした。



「ちゃんとチェーン閉めたか?」
ハレルヤはニールが頷くのを確認してから、隙間から言った。
「じゃあ、鍵閉めるからな」
コクコク
「指挟むなよ?」
コクコク
「アレルヤが帰ってくるまで良い子にな」
コクコクコクコク
ニールは朝と同じように、ハレルヤの足音が遠ざかるのを最後まで聞いていた。



「!!」
弁当には大きなクッキーが二枚付いていた。
クマの形をしたそれは、色とりどりのアイシングで可愛く顔が描いてある。
ニールの手の平よりずっと大きかった。
ニールは『はわ〜』と、みとれてからクッキーを大事にテーブルの角に置いた。






***



「ただいまっ!」


「!!」
待ち侘びたアレルヤの帰宅に、ニールはあわあわとチェーンを外す。
するとアレルヤが手を広げて待っていたから、ニールは思い切り飛び込んだ。
「ごめんねっ!ハレルヤのこと言い忘れちゃって!」
片手でニールを抱き上げながら、アレルヤは謝る。
休憩時間にハレルヤからお叱りのメールが届いていて真っ青になった。
そしたら、アリーがスペシャルなプリンを作ってくれた。
勿論ニールのためであって、アレルヤの分はないのだが。
「プリン食べよっ!」
ニールを降ろして、テーブルの上を片付ける。
スープカップが置いてある辺り、ハレルヤらしいとアレルヤは微笑した。
すると、ニールが何やら言いたそうにアレルヤの服を引っ張る。
「どうしたの?」
「…………」
頬をピンクに染めてもじもじしながら、ニールはアレルヤに例のクッキーを渡した。
「クッキー?」
コクコク
「僕に?」
コクコクコクコク
このアイシングからして、クッキーはライル作だとわかる。
きっとハレルヤが持ってきてくれたお弁当についていたのだろう。
(食べたかっただろうに)
それを食べずに、アレルヤのために取っておいてくれたのだ。
「ニール…っ」
アレルヤは涙ぐむとニールの身体を抱き締める。
「ありがとうっ!」
「!!」
ニールは満面の笑みを浮かべてアレルヤに擦り寄った。





「じゃあ、クッキーとプリン食べようか!」
アレルヤの言葉に、ニールは元気良く両手を上げた。














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サチ様>>>
この度は素敵なリクエストを有り難うございました(*´∀`*)
なんだかグダクダな一日ですいません;
きっとニールのことなので「………(ぼーっ)」で一日の大半が(笑)
それでは話にならないので、他メンバーもちょいちょい出してしまいました〜(汗)
リクに沿えてなかったらすいませんっ(´Д`;)
ほやほやしてるニールが書けて楽しかったです!







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