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■リクエスト企画2010■\(^o^)/
悠亜様【AST】
【アレルヤとニールが公園に遊びに行く話】






仕事の休み時間を利用して、アレルヤとニールは公園へ来ていた。


職場から程近い小さな公園は、昼を少し過ぎたからだろうか、閑散としている。
この公園に来たのは、店長の勧めだった。
ハロの散歩で良く来るらしい。
遊具の手入れもされていてニールにも良さげだ、と教えてくれた。
確かに小さいながらも木々や遊具の手入れがされている。
目立ったゴミもなく綺麗だった。


「良い天気だね」
キョロキョロと周りを眺めていたニールはアレルヤの言葉に頷く。
「あのベンチに座ろうか」
コクコク
手を繋ぎながらベンチへ向かうと、二人で並んで座った。
木漏れ日がキラキラ眩しい。
「空が青いなあ……」
思わず高く澄んだ空をぼーっと眺めてしまう。
(ぽかぽかで気持ち良いなあ)
ニールも、ほやーっとした顔で空を眺めていた。
たまに目をシパシパさせているのが可愛い。
(静かだ……)
微かに聞こえるのは鳥の声と風の音だけだ。
こんな近くに、こんなにも安らげる場所があったなんて。
アレルヤは店長に感謝する。
ここなら人見知りのニールでも安心して過ごすことが出来る。
そう思って隣を見ると、ニールが欠伸をした。
「ふぁ……」
アレルヤも釣られて欠伸をする。
ぽかぽかとした陽気にうとうとしてきた。
横に感じるニールの体温も心地良い。
(昼寝には絶好だな……)


「……じゃなくて!」


急に立ち上がったアレルヤに、ニールもビックリして立ち上がる。
そして目を丸くしてアレルヤを見つめた。
(店長には『ニールを遊具で遊ばせてやれ』って言われたんだっ)
これでは公園に来た意味がない。
うっかり二人で昼寝をして終わるところだった。
「遊具……大きなおもちゃで遊ぼうよっ!」
「!!」
コクコク
眠気も吹き飛んだのか、ニールは元気に頷いた。
「どれで遊びたい?」
「…………」
といっても、ニールにとっては知らない遊具ばかりだ。
考えるように首を傾げると、ニールは小さな木馬を指差した。
滑り台やブランコを想像していたアレルヤは少し意外に思う。


「手を離しちゃダメだよ?」
コクコク
ニールが頷いたのを確認してから、そっと木馬に乗せる。
「!!」
ゆらゆら揺れる木馬にニールは目を輝かせた。
「楽しい?」
コクコクコクコク
満面の笑みを浮かべて木馬を動かすニールは、小さな王子様みたいで可愛い。
夢中になってギッコギッコ漕いでいる。
(ハレルヤに言ったら作ってくれそう……)
すると、ニールが突然自分が座っている木馬を振り返った。
そしてアレルヤの腕をグイグイと引っ張る。
「え?」
どうやら『後ろに乗って』と言いたいらしいが、流石に木馬に大人は乗れない。
「僕が乗ったら壊れちゃうよ」
アレルヤが苦笑いして言うと、ニールは慌てて木馬を降りた。
「ニールは大丈夫だよ?」
ニールはぶんぶんと頭を振ると、今度はブランコを指差した。
「はいはい」
子供らしく興味の対象がコロコロ変わるのが微笑ましい。


ニールに手を引かれてブランコまで辿り着く。
するとやっぱりニールはアレルヤをブランコに座らせようとした。
アレルヤはブランコの強度を確かめる。
(これなら大丈夫そうだ)
アレルヤは笑いながら、ニールのなすがままにブランコに座った。
ニールも満足そうに笑ってアレルヤの膝に座る。
(かっ、可愛いっ!)
珍しくベタベタと甘えるニールに、アレルヤは嬉しくてブランコのロープごと抱き締めた。
「落ちないように掴んでてね」
コクコク
アレルヤはゆっくりとブランコを漕ぎ始める。
「うわっ」
忘れていた懐かしい気持ちが蘇った。
(小さい頃はブランコが楽しくて、よくハレルヤと高さを競ったりしたっけ)
初めての感覚に、ニールは頬をピンクに染めてアレルヤの手にしがみつく。
遥かに高い体温に、アレルヤの胸がじんわりと暖かくなった。


その小さな手が、温もりが愛しくて。
(端から見たらまるで親子みたいだろうか)
もし、そうだとしたら。


(幸せだな……)


腕の中の小さな愛しい存在は、楽しそうに自分を見ていた。
アレルヤも笑みを返す。
(ニールの、父親になりたかった、な)
もし自分がニールの父親だったら。
ずっと、ずっと、生まれた時から側にいられたら。
(ブランコだって、滑り台だって、なんだって一緒にしてあげたのに)
考えても仕方ないことが一瞬頭に浮かんだ。


たくさん、色んな体験をさせてあげよう。
世界はこんなにも広い。


初めての公園、初めての木馬、初めてのブランコ。
ニールの色んな『初めて』の時には、自分が側にいたい。



そんなにスピードはないのに、風が目に染みて。
アレルヤの視界は涙でぼやけた。







***



「これは、また……」



「す、すいません」
裏口から帰還するなり、店長は呆れた様にアレルヤとニールを見た。
それもそのはずで。
「見事に泥だらけだな」
あの後、砂場で遊び始めたら止まらなくなってしまったのだ。
飲食店の従業員とは思えない程汚れてしまった。


「もう今日はこのまま帰れ!」
「!?」
その言葉に驚いたのはニールだった。
うるうると涙を浮かべて店長を見つめる。
それに気付いて店長は焦ってしどろもどろに説明した。
「いや、そうじゃなくて、アレルヤはもうすぐ終わりの時間なんだぞ?」
「!!」
ニールがアレルヤを見るとアレルヤは頷いた。
「少し早いけど、お言葉に甘えて帰ろうか」
この格好では店内に入るのも気が引ける。
「ほらよ」
アリーが上着とコート、それとプリンを持ってきてくれた。
礼を言って裏口を出ると皆で見送ってくれる。
勿論、ニールをだ。
「お先に失礼します」
アレルヤが頭を下げると、ニールも真似てお辞儀をした。


「楽しかったか?」
「!!」
店長の問い掛けにニールは何度も頷いた。
その笑顔を見て、皆一同に破顔する。



「また明日な」



こうして、ニールの公園デビューはアレルヤにとっても幸せを噛み締める忘れられない出来事となった。











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悠亜様>>>
この度は素敵なリクエストを有り難うございました(*´∀`*)
公園デビューといえば他の皆様との交流……でしたが;
二人ぼっちになってしまいましたっ(汗)
しかもほんのりセンチメンタル風←
ご期待に添えているか心配です〜(´Д`;)





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