★100000HIT御礼小説★ AM.10:00 【子ニールが遊びに来ました】 「そろそろ、かな?」 ニールが時計を見るとライルもそれを確認して頷く。 「うん、そろそろだね」 「あーなんかドキドキするな!」 「そうだね」 ニコニコしながら話をしているニールとライルを、少し離れたところからアレルヤとハレルヤは眺めていた。 「二人とも気合い入ってるね」 「……俺は面倒くせぇ」 「僕は楽しみだなあ」 「…………」 その時、コンコンと微かなノックが響いた。 「!!」 待ち望んだそれに、全員(ハレルヤも反射的に)が反応する。 「はーいっ!」 ニールとライルは小さなお客様を迎えるためにドアを開いた……と、同時にパタパタと遠ざかる足音がした。 「あれ?」 案の定、ドアの前には誰もいない。 「ニール?」 「…………」 不思議に思って二人で辺りを見回すと、遥か彼方の曲り角から白いふわふわの猫耳だけが覗いている。 「ニ、ニール?」 「…………」 呼ぶと、猫耳が不安げに揺れた。 「どうしたの?」 「何やってんだ」 中々子ニールを連れて現れない二人に、アレルヤとハレルヤも部屋から出てくる。 ニールとライルは苦笑いした。 「あそこにいるんだけど……」 ニールが指差す場所には小さな猫耳が震えていた。 連れに行くのは簡単なのだけど。 「……こっちから攻めるのは逆効果だな」 「怯えられたら大変だよね」 その時、ニールが思い出したように言った。 「あ、確かマニュアルが!」 そう言うと部屋の中へ飛び込んでいく。 「……マニュアル」 「これこれっ」 直ぐに分厚いマニュアルを抱えて戻ってきたニールは、それを急いでパラパラとめくる。 「えっと、人見知りの欄」 【基本的にプリン(なければ甘い物)で釣れます】 一瞬、なんとも言えない空気が流れた。 「……ああ、子供だしな」 「……単純だな」 「こんなこともあろうかと用意しておいたぜ!」 再びニールは部屋に戻ると、今度はバケツのようなものを持って出てきた。 不思議に思ったライルは覗き込んでギョッとする。 「これ!プリンッ!?」 「デカッ!」 ニールは自慢げに笑うと言った。 「夕べ、ギガプリンを作っておいたんだ」 「冷蔵庫のバケツはそれだったんだね……」 アレルヤは謎が解けた、と苦笑する。 「さて……」 ニールはギガプリンを持ち上げると子ニールへと突き出した。 「ニール!ギ……でかいプリンだぞっ!」 「!!」 明らかに『プリン』という言葉に猫耳が反応した。 「ほらっ」 大きいプリンをちらつかせると、おずおずと漸く顔が現われる。 ハレルヤを除く三人は、キュンと胸を撃たれた。 (((かっ、かわいいぃぃぃぃっーっ!!))) 大きな目がじーっとプリンを見ている。 むしろプリンしか見ていない。 穴が開きそうなくらいの凝視だ。 「……すっごい見てるな」 「……すっごい見てるね」 もう一押し、とライルが畳み掛けた。 「カルピスもあるよ」 それにハレルヤが面倒くさそうにチャチャをいれた。 「飲んじまうぞ」 「「「ハレルヤ!!」」」 「!!」 しかし、ハレルヤの言葉は効果絶大で子ニールはあわあわと駆け寄ってきた。 白いふわふわの猫耳パーカーに、くまのショルダー。 両腕には大事そうに柴犬のぬいぐるみを抱き締めていた。 「…………っ」 プリンとカルピスに釣られて出てきてしまったが、目はうるうると潤んでいて今にも泣きそうだ。 近くまではやってきたが、知らない大人四人に怯えて立ち止まる。 キョロキョロと回りを見回して、必死に誰かを探しているのがわかった。 「………っ」 そして、やっぱり誰もいないことに気付き大粒の涙が零れ落ちる。 「おいでおいでっ」 「怖くないから」 ニールとライルは優しく手招きした。 知らない人ばかりの世界。 不安で不安で仕方ない気持ちは痛いほどわかった。 「明日にはお迎えがくるから」 「………」 そう言うと、少しだけ安心したのかニールの顔をじーっと見つめてくる。 「プリン美味しいよ?」 「食べようぜ」 おいで、とニールは手を広げる。 すると、子ニールはコクリと頷いた。 ててて、と駆けて来た身体をニールは抱き上げる。 「!!」 びっくりしたように子ニールが目をパチパチさせた。 「宜しくな!ニール!」 子ニールはコクコクと頷くと、きゅっとニールの服を掴む。 「うわーっ!かわいいーっ!」 ニールはぎゅーっとその身体を抱き締めた。 子供独特な温かさが心地良い。 「ぷにぷにっ!」 「俺にも抱かせて!」 「ぼ、僕もっ」 「はあ……」 テンション高い三人に、ハレルヤは溜息を吐きながら子ニールの頭を撫でた。 続く -------- BGMは『ねこ日記』で(笑) [次へ#] [戻る] |