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あざみ様(お正月)
『RAIN DROP』あざみ様より頂いたお正月フリー小説です。
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「もう少しで今年も終わりなんだねぇ。」

火燵に入ってみかんを食べながら紅白を見る。
日本では年の瀬をこうして過ごすことが多いらしい。
ナナリーはアーニャに連れ出されて何処かに遊びに行ってしまったので、ルルーシュとスザクは二人でのんびりと過ごしていた。

「枢木さん、来年の目標は?」

「うーん、そうだなぁ。」

ルルーシュがそう尋ねると、スザクはみかんを食べる手を止めて考え始めた。

「来年…来年か…」

そんなに深刻にならなくてもいいのにと思うルルーシュの横で、スザクはなおもうんうんと唸っている。

「君は?」

ふいにそう尋ねられ、ルルーシュも思わずみかんを剥く手を止めた。

「俺は…そうだな。」

スザクが興味津々で自分の方を見ているのが何だかおかしい。ルルーシュはほんのり笑みを浮かべながら言った。

「来年の今もお前とこうしていること、かな。」

「…えぇ!そんなこと!?目標はもっと高い方がいいんじゃない?」

スザクが心底不思議そうにそう意見してくるのが余計におかしくて、ルルーシュは思わず吹き出してしまった。

「俺にとっては結構大変な目標だよ。お前、気付いてないかもしれないけど結構モテるんだから。」

「そうかなぁ?それを言うなら君の方がモテると思うけど。」

暫く考えた後、スザクが思いついたように手を叩いたのでルルーシュはスザクの顔を覗き込んだ。

「僕たちお互いに夢中過ぎて周りのアプローチに気付かないんだね、きっと。」

いきなり真顔でそんなことを言ってくるものだから、ルルーシュは真っ赤になってしまう。

「お、俺はともかくお前は違うだろ!」

「そんなことないって!僕はいつも君しか見てないもん。」

「…お前、なんて恥ずかしいヤツなんだ。大体いつも女の子にニコニコしてるのは何処の誰だよ。」

ルルーシュは不服そうに言うと、再びみかんに手をつけ乱暴に口に運んだ。

「じゃあ来年の目標は、どれだけ僕が君を想ってるかを知ってもらうこと、かな。」

「…お前、ちょっともう黙ってくれないか。」

これ以上言われたら恥ずかしくて死ねる。ルルーシュは持っていたみかんをスザクの口にほうり込んだ。

「うん、甘くて美味しい。」

あーんと口を開けてくるので仕方なく新しいみかんを剥いて再び口にほうり込む。

「なんかいいね、こういうの。夫婦みたいで。」

「…まぁ、悪くはない。」

自分も一粒口に放る。さっきはイライラしていて分からなかったけど、確かに甘くて美味しい。交互にほうり込み、半分ずつ仲良く食べる。
そうこうしている内に紅白が終わってしまったことに気付きスザクはすっと立ち上がった。

「僕らも初詣に行こうよ!」

「そうだな。」

「はい、お手をどうぞ。」

「…どうも。」

苦笑いしながらスザクの手をとり立ち上がるとふいに除夜の鐘が響き渡り、二人は顔を見合わせた。

「来年もさ来年もおじいちゃんになっても、二人で手を繋いで初詣に行けたらいいね。」

「…そうだな。」

「僕が君のこと好きなの伝わってきた?」

「…あぁ、伝わったよ。それはそうとスザク、目標は高い方がいいんじゃなかったか?」

先程自分の言った台詞がそっくりそのまま返って来たので、スザクは笑ってしまった。

「確かにね!じゃあ僕の今年の目標は、君の目標達成に貢献するってことで。」

にっこりと笑ってスザクがそう言うので、ルルーシュも思わず笑顔になる。

「お前が貢献してくれれば達成したも同然だな。」

「でしょう?」

スザクが無邪気に笑う。

「何はともあれ、今年もよろしくね。」

「あぁ、こちらこそ。」

吐く息は真っ白だけれど、繋いだ手から体温が流れてくるようで心まで温かくなった。スザクもルルーシュも、当たり前に二人でいれる幸せをしっかりと噛み締める。

「お餅買って帰らなくちゃねぇ。」

「あぁ、お前よく食べるから沢山買わなくちゃな。」

「ルルーシュが少食すぎるんだよ!こんなに細くてどうするのさ。」

「おい、変なとこ触るなよな。」

ルルーシュはスザクを小突く。ごめんごめんと謝られて、それからぎゅうと抱きしめられた。

「僕、幸せだよ。」

「…バーカ。」

スザクの大きな背中に腕を回す。新年早々少しだけ涙が出たのは内緒だ。




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フリーとのことでしたので、あざみさまの所より頂きました^^
あざみさまの書かれる直球スザクと嫌な素振りを見せながらも嬉しそうなルルがたまらんですv
ありがとうございました!


あきゅろす。
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