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目があった瞬間、ビビっときた。
だからこれは、運命だと思うんだ。
「たける兄〜。今日も大好き」
「・・はいはい」
彼、山田武は近所のとある小学生から告白され続けていた。
「もう!千夏のいう好きって意味わかってる!?今日もそうやってながして・・。本気なのに」
「・・っていっても、お前なあ・・」
その小学生、千夏がぐいと無遠慮に顔を近づけてきて、武はその分後ろにさがった。
「大体、千夏みたいに可愛くていい子そうそういないよ?しかもこんなにたける兄こと愛してるし、たける兄のいうことだったらなんでもきく」
そうなのだ。
千夏はそこらの女の子より可愛いし、なにより小学生のくせに色気がある。
自慢じゃないが、今までもてたことのない俺には勿体なさすぎる物件だ。
「初めてあったとき、ビビビってきたんだ!運命だと思った。・・なのに、なんで駄目なのさ。千夏が小学生でたける兄が高校生だから?大丈夫だって。今時年の差カップルなんて、珍しくないって」
得意げに「ねっ」という千夏に、武は大きくため息をついた。
「あのなぁ、何回もいったけどもっと根本的な問題があるだろ?」
そうなのだ。年の差なんか大した問題じゃない。
もっとどうしようもない問題があるのだ。
武は、大きく息を吸い込んではっきりと言い放った。
「千夏。お前・・」
「?」
「男の子だろう?」
一瞬の間。
「でもっ、でもっ」
千夏は眉を寄せて必死に言い募る。
「これは運命だしっ」
「それでも男の子同士は結婚できないんだ」
とどめの言葉を武が突き刺すと、千夏はとうとう泣きそうに顔をゆがめて、それを隠すようにうずくまってしまった。
「千夏・・」
さすがにやりすぎたかなあと、武は丸くなった千夏に手をのばす。
と、ぐいっと引っ張られて
「・・!」
唇に、生温かい感触。
「もーらった」
そこには予想していた泣き顔ではなく、してやったりと舌をだす千夏な顔があった。
何が起こったかを理解して、武は慌てて唇をおさえる。
「たけ兄、顔真っ赤。かわいい」
「お前なぁ」
小学生に一本取られた状態に、今度は武が眉を寄せた。
彼、山田武の苦労はまだまだ続きそうだ。
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