小さなお話たち
天国発の好き
「兄ちゃんおはよう」
俺、18歳
弟、15歳
何処にでもあるような普通の家族。
とはいっても十年ほど前に親が再婚して出来た弟なので血の繋がりは一切ない
義父さんの連れ子である義弟はやたらと俺に懐いてきた。
そして俺もそんな義弟を可愛がってきた。
本当に自然に、ずっと兄弟だったように・・・
いや、お互い口にすることはないがなんとなくわかっている。
俺達は何百年も前からきっと兄弟だったのだ。
この感覚はどうやら世間様から見て可笑しなものらしいので親に言ったこともない。
これは前世の記憶というやつなのだろうか、はたまた別の何かなのか。
・・・そんなものはどうだって良かった。
俺にとっては義弟が弟であることが大事だった。
(今度こそ幸せになろう )
「・・・兄ちゃん、今日も平和だね」
母さんの趣味で揃えられた家具が並ぶリビングで二人揃って明るい色のカーテン越しに部屋に入る陽を見ていた。
“今は”これが俺たちの平和なのだ。
「・・・そうだな。」
傘をさすのが面倒な雨より、ぽかぽかと気持ちのいい陽のほうが好きだ。
未だに会ったらお菓子をくれる近所のおばさんが好きだ。
弟と石を蹴って歩く通学の時が好きだ。
怪我をしたら救急箱を持ってくる母さんが好きだ。
「兄ちゃん」
「ん?何だよ」
「大好きだよ」
十年前に兄弟になってから毎日のように俺にそう言う弟。
勿論
「分かってるさ。俺もお前が大好きだよ」
いつも俺のことを考えているブラコンな弟が大好きだ。
(今度こそ幸せになれる)
まぁ俺は弟として、というよりは性的な意味で弟が好きなんだけどな。
それはまたいつか言ってやろう。
軽蔑されるだろうか?
そしたらきっと立ち直れなくなるから今は今の平和を貪ろう。
END
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