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小さなお話たち
傘 3



何気なく友人の顔を見ると目が合った


偶然だろうか?それとも、さっきから俺のこと見てたのか?

「どうした、何かついてるか?」

「あー・・・。・・・いや、なんにもねーよ。」


あからさまに動揺している友人をよそに俺の家が見えた。

前から歩いてきた近所のおばちゃんが「あら、仲良しね〜」とか言ってそのまま立ち去ったせいで傘の中はさらに気まずい空気が漂った

なんとかこの空気を断ち切ろうと
「俺たち、仲良しに見えるってよ」

と笑って言ったら

「そりゃあ、相合傘する仲だからな」

とニヤリとしながら言われて反応が間違っていなかった事にホッとした。

「この年で中々いねーよきっと、こうやって男同士の友達で相合傘してるやつ」

「ああ、そうかもな。」

「・・・俺、きっと男同士で相合傘してるやつを傍から見たら茶化すと思う。
でも実際してみるとちょっとだけ恥ずかしいけど悪くないかもしれねぇなって思ったわ」

それは友人と話してるときに思っていた事だった。
晴れの日の帰り道は寂しい道を二人で歩いていたけど今日はなんだかいつもと違っていたのだ。
黒い傘の中で窮屈な俺達は一緒に歩いていると思えた。


「・・・意味わかんねーっつーの」

そう言った友人の口角は上がってるように見えた。

「お前も実は嫌いじゃないだろ?」

「ん?あー、・・・好きだよ」

友人の声がいつもと違っていてなんだか居心地が悪い
友人の顔が見れなくて顔をそむけた

「・・・告白みたいにいうなよアホ」

「告白だったらどうすんだよバカ」



思わず顔を上げるとまた前の方から誰かが歩いてきてるのが視界の端に見えた

そして傘が前の方に傾いて

友人の顔が近づく










end


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