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小さなお話たち
桜の呪い 3


そっとベンチに掛けたブレザーを手で軽くなでた

僕の不毛な片恋が成就しますように・・・そう願いを込めて。


桜の木の下には彼がいた。
彼も告白されるとわかっていてここにいるのだ。
ジンクスを知ってここにいるのだ。

相手が誰でも付き合うつもりなのかな?

いや、信じていないからここにいるのか。



「・・・待たせてごめんね。」


焦げ茶色の後頭部を見上げて声をかけた。

彼が僕の方を見てそっと微笑んだ


「・・・やっぱり、お前だったんだな」

僕は驚愕して目を丸くした

「知ってて来てくれたの?」

「・・・ここに呼んだってことはそう言う事なんだよな。
いいよ、お前の気持ちは分かった。



俺もお前が好きだ」


「う、嘘だ・・・」


これは呪いの力か。信じられない。
こんなことが本当にあるのか。

僕の紙に絡んだ桜の花びらを彼が細長い綺麗な指で取った。

いつのまにか僕たちはこんなにも近くにいたんだ。

彼は優しく微笑んで唇を近づけた







「はっくしょい!!!!」


「「・・・」」


突然聞こえた盛大なくしゃみに僕たちは動きを止めた

「あー・・・わりぃわりぃ。
見るつもりはなかったんだけど俺、昼休みからここで寝ててさぁ。
で、起きたら告白タイムだしジンクスとかうわやべぇって思ったんだけどあのタイミングで出ていったらややこしい事になるかなぁって思ってたんだけど肌寒くてよ」

彼の顔よりも更に目線を上にすると桜の木の上から見下ろす男がいた。
・・・もしかしてこれってジンクス失敗?


「ジンクスなんて信じんなよ。告白は見られてたけど俺とお前は両想いなんだから嘘だったんだよ」

「そ、そうだよね」


「そうはいかないかもなー」

「「え?」」

「俺もそのチビのこと好きだから三角関係できちゃったなー」

「へ!!?い、いや、でも僕は彼のことが・・・」

「分かってるよ。だから、俺のことを好きにさせてやる。覚えとけよお二人さん」




木の上にいた男が降りてきて、ずっと影になってで見えなかった顔が見えた。


「・・・風紀委員長さん」

「爽やか少年、悪いな。
俺に落とせなかったやつなんていねえんだよ









そいつは俺のもんだ」









end







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あきゅろす。
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