足りないモノ
##NAME1##がせめてもうちょっと…
大きかったらなァ…
(足りないモノ)
『なあなあ道文ッ、見ろよ今の子っ』
『何だよ亮…今の人がどうかしたのか』
今し方通った女子高生…身体の発育が全身に表れているぐらいにありとあらゆる部分が膨れている、所謂ナイスバディな女子高生を指して、結崎がにんまりと笑っている
『やっぱ女の子はああじゃないとなァっ』
『…どうしようもない馬鹿だな』
館脇が溜め息を吐くのも仕方がない。結崎の女の子好き…特に色っぽい女性が好きな事は今に始まった事ではないのだ。それを後ろから付いて来ていた##NAME1##もまた、深い溜め息を吐いた
『##NAME1##の胸とかお尻…もうちょっと大きくならないかなァ…』
昔、小さい頃にクラスの男子に身長が小さいとからかわれた事を思い出す…それ以来毎朝の牛乳は欠かさない。しかし伸びない身長、それに加え成長しない身体…##NAME1##は全身鏡の前で肩を落とした
『…亮ちゃんもきっと…』
そこまで言い掛けて##NAME1##は言葉を飲み込んだ。"きっと##NAME1##に飽きるに違いない"そう思うだけで##NAME1##は泣きそうになった
『お、##NAME1##やないかッ。久しぶりやなァ』
『あ…御神教官っ。遠征終わったんですね』
憂鬱なまま朝を迎え、結崎と共に登校し、いつものように授業を受け、またいつものように放課後にBITルームへ行くと、地方まで遠征へ行っていた御神と鉢合わせになった
『いやァ…今回もホンマ疲れたでェ…何たってなァ』
『お…お疲れ様です』
御神は話し出すと止まらない。特に遠征後は土産話と言って、例え話相手が昂生であっても延々と話し続けるのだ。今回の標的は勿論一番にBITルーム来た##NAME1##…
『あァ、そうやそうやッ。一番にBITルームに来た##NAME1##にだけ土産やるわっ』
『えッ…』
話の途中で何を思い出したのか、御神はいつもの派手なスーツのポケットから何かを取り出して強引に##NAME1##の手へ握らせた
『わ…これ…あ、飴玉…』
『ただの飴玉やないんやでッ。何でも"願いの叶う飴玉"やっ』
また変な物買って来て…と、理緒や館脇ならばそう思うであろう飴玉。しかし##NAME1##にとっては棚からぼたもち…例え気持ちの問題であっても、今自分が一番欲しい物なのだ
『あ…有難うございますっ』
『ん、何や何や…そんな喜んで貰えるんやったらもっと買って来たら良かったなァ』
異常な程に喜ぶ##NAME1##に御神は多少驚きながらも、悪い気はしないようで、嬉しそうに左手で頭を掻いた
『そういやワイ…ヒメに帰って来たら学長室来いって言われてたんや…』
まだ土産話の途中であったのだが、姫宮に呼ばれていた事を思い出すと御神は、ほんならまた後でなッ、と名残惜しそうに##NAME1##の頭を撫でるとBITルームを急ぎ足で立ち去った
『…願いの…叶う…』
いくら##NAME1##であっても、そんな飴玉だけで自分の願いが叶う事はない事ぐらい理解している。しかし…もしこれで自分の身体が本当に成長してくれるのなら…
『…願うだけは…タダ…だもん』
そう自分に言い聞かせ、未だ誰も来ない事を確認すると桃色に色付いた飴玉を包みから取り出し、大きく深呼吸をした後…口の中へと転がした
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