バレンタイン企画夢(結崎)
亮ちゃん亮ちゃん…
ナマエ、怒ってるんだよ
気付け、気付け
『結崎先輩ッ、これ、貰って下さいっ』
『え、まじ、サンキューッ』
ああ…これで5個目だね。今の子は義理、本命、どっちなんだろう…。考えるだけで涙が出そうになった
天照郷にいた時の亮ちゃんも格好良いけど、今の亮ちゃんはもっと格好良くて…ちょっとだけ亮ちゃんが遠くに感じる…
『よォ、ナマエッ。遅くなってごめんな』
『うん…』
下足室から亮ちゃんはやっと出て来て…紙袋には5個以上のチョコ。きっとナマエが知らないだけで沢山貰ったんだって…予想は簡単に出来た。
『亮ちゃん…チョコ、いっぱい…』
『え、あはは…なんか沢山貰っちまった』
ナマエが亮ちゃんの紙袋を覗くと、亮ちゃんはそう言って照れて…ナマエは思わず自分のチョコを後ろに隠した
ねェ、亮ちゃん…ナマエ、嫉妬妬いちゃった…
『こんなにいっぱい…大変、だね』
『ん、まァ…嬉しいけど、大変だよなッ』
笑う亮ちゃん、笑えないナマエ…。こんなにいっぱいなら、ナマエのチョコなんか要らないよね…。行き場のないナマエの後ろからする甘い匂い…
『……馬鹿』
呟いた言葉。ナマエの前を歩き出した亮ちゃんには聞こえなくて良いから…。このまま、良い友達…幼馴染みでいたら良い…
『そういやさ、ナマエは誰かにチョコあげたか』
『…ううん』
だって、あげたい人、目の前にいるんだもん。ナマエが作ったチョコは、大好きな大好きな亮ちゃんにあげたいんだもん…
『じゃあさ、ナマエの後ろに隠してるチョコ、俺にくれよ、なッ』
『え…』
亮ちゃん気付いてたのかな…ナマエがさっきから持ってるチョコに…。振り向いた亮ちゃんを見ると、笑顔で…
『ナマエのチョコなんか…他の子より不味いよ…』
『他の子なんかより、ナマエから欲しかったんだけどなー…』
意地悪っぽい笑顔…冗談なのか本気なのか分からないけど、気付いたら亮ちゃんにチョコを差し出していた。
『まじでくれんの、ラッキーっ』
『あ、あのね…これ…』
本命なんだよ、そう、言おうとしたのに…言葉が出ない…ううん、正確には目の前が暗くなって、背中に暖かい温もりを感じた
『来年はさ、本命が良いな…なんて…』
気付け、気付け…このチョコに籠もったナマエの気持ち…そう思うのはちょっと欲張りだけど…今、この温もりだけはナマエだけのモノって思って良いかな…
温もりでチョコが溶けるより早く
自分が溶けた気がした…
080207めぐ
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