Cream
目を閉じて…3、2、1
(Cream)
『ええ所に来たわ、ナマエ、パスっ』
『へ…御神教官…と、亮ちゃん…』
先程漸く日誌を届け、BITルームの扉を開けた所に月詠学院教官の御神、SGコースのメンバーであり、ナマエの幼馴染みである結崎に出くわした。
『他の皆逃げ出してもうてな、おのれしか頼めんねや』
『え、な、何がですか…って、御神教官ッ』
理由も言わず、ナマエの肩を痛いぐらいに叩くと、ナマエの制止も聞かずに御神はBITルームから逃げるように走り去ってしまった。
『御神教官…どうしたんだろう…ね、亮ちゃん』
『…』
BITルームに来てからほんの数秒…理由も分からず何かを御神によって託されたナマエは首を傾げ、残された結崎に目を向けるが、結崎は黙ったまま言葉を発する事はない。
『亮ちゃん…どうしたの、具合でも悪いの』
『…』
いつもの明るい結崎とは様子が違い、一心にナマエを見つめる。外装は特に変わった様子もなければ、天魔の氣もない…。害はない筈だ、とナマエは一歩結崎に近付き、結崎を見上げた
『…わんっ』
『…え…きゃあああっ』
結崎の言葉とは思えない…寧ろ、人間の言葉とは思えない言葉を発する結崎。途端、物凄い勢いでこちらに飛び掛かって来る結崎を避ける事も出来ず、ナマエは床に尻餅を着いた
『わんっ…わんッ』
『え、え…ちょ、亮ちゃん…っ、ひゃ…ッ』
ナマエに抱き付く形で結崎はナマエとの距離を詰める。何が起こっているのか今一つ状況が飲み込めないナマエに更に追い討ちを掛けるように頬を這う結崎の舌…
『亮ちゃ…く、擽ったい…っ』
何がどうなってしまったのか…まるで本物の犬になってしまったようにナマエの顔を嬉しそうに舐め回す結崎。冗談でやっているのだろう、と結崎の胸を強く押すが、結崎の舌は止まる事はない
『お…お、おすわりィ…っ』
『わんっ』
もし結崎が本物の犬ならば、効くかもしれない…と、夢中でナマエは犬に対して言う台詞を叫んだ。するとどうだろうか…元気良く、まるで返事をするように結崎は吠え、ナマエの身体から離れるとその場に座り込んでしまった
『…う、嘘…』
『へっ、へっ…』
その様子に一番驚いたのはおすわりと叫んだナマエ本人。何がどうなってしまったのか、驚きの余り、ナマエの口からは暫く言葉が出て来なかった
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