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Kiss






それが、合図ならば…




kiss・4







『あれ、お前だけなの』


携帯端末を使い、慣れた手付きでBITルームの扉を解除、開いた先にはナマエがいた。いつもは一緒にBITルームへ向かうのだが、今日は少し遅れて、結崎がやって来た


『あ、亮ちゃん…うん、まだみんな来てないよ』


『ふうん…そっか…』


ナマエ以外の人の気配はなく、ナマエの座っている席の前を、安宅も自分の特等席と言わんばかりに結崎が腰掛ける。結崎が来た事が嬉しいのか、ナマエの顔からは笑顔が溢れていた


『まだ後30分あるもんね。亮ちゃん、時間掛かるって言ってたのに随分早かったね』


すっかり忘れてしまっていた課題を、いつもならナマエや館脇が見せてくれていたが、流石に読書感想文を写す訳にはいかず、朝一限から結崎は延々と教師の目を盗み、読書感想文を作成していた


『うん。ナマエに早く会いたかったしッ』


『わっ』


椅子から身を乗り出し、ナマエとの距離をぐっと近付け、結崎はにィと笑う。…結崎がこの笑顔を見せる時は、決まって何か悪巧みしている時だとナマエは最近になって気付いた


『なんかさ、こう言うの、凄ェ燃えるよな』


『こ、こう言うのって…』


相も変わらず怪しい笑顔の結崎を見、ナマエは思わず身体を退けようとするが、いつの間にか肩に回された手にそれを阻止され、逃げる事は許されなかった


『ナマエ…』


『りょ、亮ちゃん…』


悪巧みしていた結崎の表情が急に真面目な顔に変わり、ナマエは息を呑む。瞳に捨てられた子犬の様な、懇願の色を浮かべられ、拒否する事は叶わないのだろうとナマエは直感する


『ナマエ、目、閉じて』


『あ……んっ』


拒否出来ないにしろ、少しの猶予は欲しいと口にしようとした途端、結崎の熱を持った唇がナマエの唇に重なった


『ふ…んう、う…っ』


ナマエが唇を結ばない内に舌を口内に侵入させ、小さく伸びるナマエの舌を自分のもので絡め取る。時折、結崎に舌を吸われれば、ぞくっとした感覚がの身体を駆け抜けた


『あ、ふ……ん…っふァ…』


その感覚はまるで麻痺に合ったような感覚に似ており、しかしそれは段々と甘いものに変わり、いつしかナマエの舌は結崎によって操られ、快感へと変わっていた


『へへ、お前可愛過ぎ。まじやばいって』


ちゅ、と音を立て、結崎の唇がナマエの唇から漸く離れる。BITルームの明かりに照らされ、ナマエの赤くなった顔ははっきりと結崎に見られてしまっていた。


『今日さ、ナマエの部屋行っても…良いよなっ』


『…亮ちゃんのエッチ…』


拗ねたような表情を浮かべ、それでも結崎の頼みとあらば、ナマエに拒否する要素はなく、ナマエは渋々と今日の約束をする。こうして流されてしまう性格は意外と押しの甘い結崎にとっては好都合であった


『よーしっ、今日もミッション頑張るぞッ』


その日、結崎がいつも以上の働きを見せた事は言うまでもない










(無邪気に笑う君は罪人)


断れないの、分かってるよね
















081014めぐ
121104編集




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