依存
(依存)俺の彼女は、
『亮ちゃん…』
俺の彼女は…
『りょーちゃァん…』
寂しがり屋。だから、俺がいないと駄目なんだ
『亮ちゃん…』
『ん、どした』
とある夜、いつもの情事が終わり結崎が洗面所で歯を磨いてると、上布団を頭から被って結崎を探しに来たナマエが、結崎の背後にちょこんと立っていた。
『起きたら亮ちゃんがいないから…ッ』
半分目に涙溜めて、極度の寂しがり屋であるナマエは結崎のTシャツを掴み、弱々しく結崎を見上げる。二人の身長差は著しく、まるで迷子の子供が縋り付いているかの様にも思える。
『あ、ごめんごめん…でも俺、急にナマエの前から消えたりしねェから』
『…うんっ』
ナマエの頭を撫で、ナマエにのみ見せる、結崎特別の笑顔を目の前に居るナマエへと向ける。その結崎の優しい笑顔を見て安心したのか、ナマエも結崎に特別の笑顔を向けた。
『部屋帰んねェと風邪引いちまうぞ』
そう言ってナマエの手を引き、部屋へと連れ帰る。勿論、その間も繋いだ手をお互い解こうとはしない。いつでも結崎に触れていたいとナマエが言ったのはいつだったか、ナマエは例え部屋の行き来でさえ、結崎から離れようとはしない。
『亮ちゃん…あの…ぎゅうってして欲しい…』
寝室へと戻り、ベットに座った所でナマエが結崎の腕を引っ張る。結崎はその仕草、恥ずかしそうな顔に負け、ゆっくりとナマエへ手を伸ばした。
『仕方ねェなあ…』
そう言いつつ溜息を吐くが、結崎自身もナマエを抱き締めたくて仕方がなかった。それを隠すように両手でナマエを包めば、ふわりと香るナマエの甘い香り。
『えへへ…亮ちゃん、あったかいね…』
腕に包まれたナマエは柔らかく笑い、結崎の胸に手を添える。嬉しそうに自分に甘えてくるナマエが愛しくて、健全な男の結崎にとっては正直、理性との戦いであった。
『亮ちゃんがぎゅうってしてくれるの…すっごく気持ち良い…』
またそんな可愛い事言って…とは口には出さず、喉の奥へと隠して見せる。然しながら、お互い未だ裸体である為に、ナマエの感触が直に結崎へと伝わる。結崎は欲望に負けてしまいそうな自分へ制止を掛けつつ、どうやってこの危険な状況を切り抜けるかを考える…と
『んー…っ』
『…ッ』
結崎が理性との戦いを繰り広げていると突然、ナマエが結崎の頬へ唇を押し当ててきた。自分の頬に押し当てられた唇は、柔らかく暖かい。途端、結崎の頭の中で理性の糸が切れる音がした。
『あッ……りょ、亮ちゃん』
理性との戦いに敗れた結崎の頭の後ろで、天使と悪魔の囁きが聞こえる。ここで押し倒さず、いつ押し倒すのかと囁く悪魔。自身の欲を一方的に押し付けるべきではないと囁く天使。
結崎は迷わず悪魔の囁きを聞き入れた…
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