未来予想図
たまには…こんな日があっても
…良いと思う
未来予想図
『京一ィ…って…誰その子…』
京一とあたしは昔からの付き合いで仲が良い。否、仲が良いと言われている。って言っても付き合ってる訳じゃなく友達。飽く迄、そのラインは越えていない
今日は京一に歴史のノートを貸すために家に行ったんだけど…親がいなくて、あたしが京一を下から呼ぶと京一が『手が離せねェから上がって来てくれ』って窓からが叫んだ
だからあたしは京一の家に一人で上がって来て…
もの凄い現場を目撃してしまった
それは
京一が女の子に押し倒されてキスされていた…
しかもその女の子はあたしなんかより全然可愛くて…
あたしは思わず言葉を発してしまった
『京一に隠し子が出来た』
『違ェよっ…ってか助けろッ』
京一の唇を奪っていた女の子を何とか引き剥がすと京一が起き上がって口を拭う。京一が女の子にキスされて嫌がるなんて珍しい訳で…
『パパ…ァ』
『え…パパ…』
指差されたのは京一…。いや…まさかね…。何だか頭に石が落ちて来たような衝撃を受けて、思わず立ち眩み…
『こいつ、親戚の娘なんだよな。俺に親戚がいた事すら知らなかったけどよ。何か両親出掛けるからって預けられたんだよ』
『なるほど。あんたの隠し子じゃなかったのか』
確かに京一とはあまり似てないけど…笑った顔はちょっと似てる。ほっ、と胸を撫で降ろして…あれ、何であたしほっとしてんの…
『お名前何て言うのかな』
『なまえちゃんっ』
すっごく可愛く笑いながら自己紹介。可愛いなァ…やっぱり小さい子って無邪気に笑ってて…可愛い。
『ってかあたしと同じ名前じゃん』
『そうなんだよ。まァこっちのなまえの方が可愛いけどなァ』
ってなまえちゃんを膝に乗せる京一。うん、パパだ。って…悪かったわね、可愛くなくて…
『なまえちゃんは何歳なのかな』
『こいつ1歳だから、まだパパとママと名前しか喋れねェんだよ』
なァ、ってなまえちゃんを抱き締めて笑う…ちょっと嫉妬を妬いてしまうあたし。
『取り敢えず貸すノートね。じゃ、あたしはなまえちゃんと京一の邪魔しちゃ悪いんで帰ります』
ちょっと苛々しながら京一にノートを渡すと立ち上がった。だって、子供に嫉妬なんて、笑えないもの…
『ママァ…』
『…え』
帰ろうとしたらなまえちゃんにスカートを掴まれ制止させられてしまう。逃れようと思えば逃れられるぐらいに弱い力。それが出来なかったのは…
『ママ、帰っちまうの寂しいよなァ、なまえ』
なまえちゃんがあたしをママって言った事に驚いたのか、京一があたしをママって言った事に驚いたからなのか…多分、どっちも…
『ママァ…』
『いや、あの…なまえちゃん、あたしはママじゃなくて…』
って説明するけどなまえちゃんに分かる訳もなく…あたしの説明なんかまるで無視で目を潤ませながらあたしをママと呼び続ける…その目は、可愛過ぎて反則です
『あの…だからァ…』
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