紅い雪(ヒロインSide)1
ねェ、京一…あたしは待ってるんだよ
いつもみたいに、貴方が迎えに来てくれる事を
紅い雪
『ねェ見て、すっごい可愛いよっ』
『え…可愛いかァ』
12月23日、一緒にお互いのクリスマスプレゼントを買いに来たあたし達は、店に入った所で凄く可愛いくまのぬいぐるみを見付けた。愛らしい、ふわふわしたくま…
『うん、可愛いっ。あたしこれが欲しいッ』
『はァ…んなもん、俺が持ってなまえ待ってたら気持ち悪ィだろが』
なんて京一は言ったけれど…だってすっごく可愛い…ちょっと赤茶色のくま。
『それにさ、何かこの可愛い感じが京一に似てるんだもん』
『…馬鹿かお前』
何で疑問形…あたしは見たまんま、思った通りを言っただけなのにさァ…。不満な表情いっぱいで京一を見つめるけど、京一はそんなあたしを見て溜め息一つ…
『ほら、他のもん探そうぜ』
『…うん』
これ以上ごねても京一は絶対に買ってくれそうになかったから、あたし達は手を繋いでまた歩き出した。
ね、内緒の話…あたしがこれを京一に買ったら…京一、大事にしてくれるかなァ
『んじゃ、25日の夜20時に駅前でな』
『うん、遅刻しちゃ駄目だからね』
本当は24日も会いたかったんだけど…最近の京一は忙しいみたいだから諦めた。よく傷だらけで帰ってくるし…だから、24日ににあのぬいぐるみを買いに行って、25日にびっくりさせてやろうと思う。
なまえサンタからの密かな贈り物なんだ…
『分かった分かった、絶対ェなまえより先に着いてやる』
『楽しみにしてます』
ってからかうと人差し指であたしの額を小突いて、顔を近付けて来た…。勿論それはバイバイの甘い甘いキスの合図…
『…』
『…やっぱやめた』
…折角目を閉じたのに、急に京一の顔が遠くなる…。あたしのドキドキを返せっ
『25日に口が腫れるまでキスしてやるからな』
『もうっ折角目閉じたのにっ』
見上げるといつもの得意顔。それでも許してしまうのは…悔しいけど、惚れた弱みってやつだと思う。
『じゃあな』
『うん、バイバイ』
そうしてあたし達は自分達の家へ向かった。
『これ下さいっ』
次の日、特に急いでる訳でもないのに息を切らせて昨日の店に行った。だって、もし売り切れてたら悲しいもんねッ。
ラッピングのリボンは青にしてもらって、【Merry X'mas】のカードも付けてもらって、これに昨日買った京一へのプレゼントを付けたら京一のプレゼントは完璧…
『早く、明日にならないかなァ…』
早く京一の驚く顔が見たくて、帰りは早く時間が経つようにゆっくり歩いて帰った。
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