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幸か不幸か









お父さん、お母さん…



あたし、とんでもない事をしてしまったようです…




幸か不幸か





『きょ…京一君…』


見慣れない天井に不信感を覚えたのも束の間、隣の温もりに違和感を感じ、横を見ればすやすやと眠る魔神學園3年C組、蓬莱寺 京一の姿。


『え…あ、あれ……あれェ…』


一晩でどうして同じベットに寝る関係になってしまったのか、思い出そうとするも気が動転して頭の回転は予想以上に鈍い


『あのー…京一君…』


『ん……何……』


取り敢えず事情を聞こうと隣で眠る京一を揺さ振り、京一の目が開くのを待つと京一は軽く呻いて目を開けた。目覚めが良かったのか、気持ち良さそうに伸びを一つ


『おうッ、おはよ。良く寝たッ』


『お、おはようございます……』


予想以上に普通の反応で挨拶をする京一。ここで自分と同様に少しでも驚いてくれたならば少しは安心出来ると言うのだが、京一には動揺の欠片もない


『京一君、ここって…』


『ん、ラブホだけど』


綺麗な外観からしてもここがラブホテルだと言う事は十分に分かるのだが、何故ここで二人揃って寝ているのか未だに納得がいかない


『昨日の飲み会でなまえちゃん潰れちまってなァ…終電ないし家分かねェしでここしか無かったんだよ』


『あぁー…な、なるほど……うん』


昨日、同じクラス内で飲み会があった事、3年の一部でも格好良いと騒がれ、密に片思いをしていた京一の隣を確保出来た事、そして自分が潰れてしまった事…そこまでは朧げながら理解出来た。


しかし一番の問題はこの次…


『な…何かあった…』


『何かって……』


言い出しにくい事をもごもごと呟くと、京一は少しばかり考える素振りを見せると満面の笑みでさらりと言って退けた


『ああ…大丈夫大丈夫、襲う気もなかったしなッ』


頭の中で繰り返される台詞…大ダメージと言う表現では表現出来ないくらいのショックを受けたのはまさにこの時であった



『襲う気もなかったってッ…』


『まァ、手を出されてても問題だけどね』


学校に来るなりなまえは昨日飲み会で一緒だった友人に全てを話し、一人教室でうなだれる。こんな事なら慣れないお酒に手を出すんじゃなかったと後悔するも、もう遅い


『京一君となら…何があっても別に良かったのに…』


『けど京一君、後輩とか3年の一部に人気高いし、レベル高いんじゃない』


そう、蓬莱寺 京一と言えば後輩から最も人気が高く、1ヶ月で付き合った女の子の数は半端ないとかそうでないとか…色々な噂は絶える事なくなまえの耳に伝わって来る


『あー…可愛くなりたい…』


『何だよ、恋でもしてんのか』


聞き覚えのある声がすぐ耳元を掠め、反射的に振り向いたなまえの顔すぐ近くには紛れもない話の張本人、京一の顔があった


『きょッ…京一君っ…』















あきゅろす。
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