愛戦士4-1
誰かが殺されたとか、銀行強盗とか…
そんなニュースよりもアタシには衝撃だった
(愛戦士・4)
『京一と…ちゃんが…』
珍しく遅刻せずに教室に入ったアタシの耳に飛び込んで来たのはそりゃもう驚きな訳ですよ。
『有り得ないよねーッ、何でなのかなァ』
『だよねーッ、京一君ってああ言うの趣味だったんだァ』
馬鹿女。別に有り得ない話じゃないっつーの…そもそもアンタ達、京一狙ってたんだって、そっちの方がアタシは驚きだよ
『あ、来たッ』
『ちょっとアンタさァ…』
女って本当に嫌だね…アタシが感傷に浸る間も与えてくれずに早速ちゃんに嫌味言いに行くとか…
『京一君と付き合ってるってマジな訳』
『え…う、うん…』
ちゃんなんて女共に囲まれて迷惑してんじゃん…大人数で寄って集ってさ、恥ずかしくないのかな
『何で『あーもうッ、煩いっつーのッ』』
気が付いたらアタシは教室どころか廊下にまで聞こえちゃう声で女子共に向かって叫んでいた。あら、アタシって結構声量良いかも…
『僻みもここまで来たら欝陶しいッ、別に京一が誰と付き合おうが関係ないでしょっ。大体ムカつくなら京一本人に言えよッ』
『…ッ』
まるで正義のヒロイン…アタシのキャラだとヒーローですか…。別にね、アタシはちゃんが嫌いな訳じゃないの。ただ、羨ましいだけ
何より、ちゃんが虐められる事で京一の悲しい顔を見たくない…
『俺の女に何か文句でもあるのかよ』
『きょ…京一君ッ』
アタシの後ろに響いた京一の声…"俺の女"その京一の台詞がやけに頭に残ってしまった…あァ、やっぱり本当だったんだ…
『俺の女に何か文句あるのかって聞いてんだけど』
『京一君…もう、良いから…』
何て言うんだろう…ちゃんはきっと、こうなる事覚悟で付き合ったんじゃないかと思う…。京一は皆から人気だから、付き合うとしたらこう言うのって付き物だし、アタシみたいにちゃんは言い返せる子じゃないから、我慢しかないんだよね
『ちゃん…』
『アンタ達、次こんな事したらマジ殴るだけじゃ済まさないからねッ』
すっかり黙ってしまった女子達にアタシはそう言って退け、京一とちゃんの手を引っ張って、教室を後にした
『っとにッ…一発ぐらい殴っとけば良かった』
屋上に来てもアタシの苛々は止まらず、ちゃんはどう対処して良いか分からずにおろおろしていた
京一は、と言うと…こんなアタシ慣れっこだから暢気にぺちゃんこの鞄から取り出したお茶を飲んでいた
『あ、あの…有難う』
『へ…あ…アタシは別に…ああ言う陰気なの嫌いなだけだから』
別に良い事した訳でもないからお礼とか言われると照れるなァ…と言うより、なんか改めてアタシって女っ気ないかも…
『いや、しかし見事だったぜ…なまえの姐御っぷりッ』
『悪かったわねー、可愛くなくてッ』
へらへらと笑う京一と生意気しか言えないアタシ。いつも通りの関係に今日はちゃんの笑い声のトッピングが混じってちょっと変な感じ
変だけど、悪い気は不思議としなかった
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