甘い一時を共に
『よっし!今日の戦いも終わったし、ラーメン食いに行くぞ!』
『京一はん、すまんな。わい今日はパスや』
甘い一時を共に
『何だよ劉?ノリ悪ぃな?』
いつもの戦い、いつもの仲間、そしていつもの寄り道…。いつもと違ったのは劉が抜けると言う事
『すまんな。ちょっと約束があんねん』
『約束…?ははーん…お前ェ、コレか?』
京一が小指をピンッと立ててニヤリと笑い、それを見て劉も照れ笑いを浮かべる。つまり、《彼女》を意味する
『まぁ…そんなモンや』
『えぇ〜ッ!?劉クンって彼女いたの!?』
京一と劉が小突き合っていると、小蒔が驚いた顔をしながら劉の顔を覗いた
『へへッ…なまえって言うねんけどなぁ…メッチャ可愛いねんッ』
いつもの様に人差し指で鼻の下を掻きながら、嬉しそうに笑う。その顔は普通の高校生と変わらない
『へぇ…なまえチャンか…今度紹介しろよ?』
『惚れたアカンで?ほな、またな』
刀を包むと、劉は元気に走って行った。
『…なまえチャンってさ、劉クンの《力》の事知ってるのかな?』
『そうね…知ってるのと知らないのと…どちらが良いのかしら…』
《力》、戦い、全てを知って相手が帰って来る事を祈りながら待つのか、それらを全く知らずに不安な夜を過ごすのか…
―――――――
『…弦月、遅いなぁ…』
今日は親が居ないから、と扉の鍵は開けっ放しにしてあるから、親を気にする劉は今日が絶好の機会である
『もしかして…また変な事に巻き込まれてるの?』
東京で起こってる異変。
それに劉が関わっていると聞いた時、それから劉が逃れる事が出来ないと聞いた時…
それを聞いて、それでも直、劉の彼女でいる事を望んだ自分…。自分に《力》は無いから、自分は劉の無事を祈るしか出来ない
『弦月…早く…来て』
不安で潰されそうだから…恐くて眠れないから…
何時もの様にあの怪しげな関西弁で色んな話を聞かせて欲しい…
それがアタシの支えになるから…
待ち切れなくなって扉の外へ飛び出し、星空を見上げる。星はいつもの様に綺麗に輝いていて、いつもと変わらない
『弦月…早く…』
『よ、おまっとさん』
どこかで劉の声がしたが前を向いても後ろを向いても劉はいない…。寂しさから生まれた幻聴なのか…
それにしても、はっきり聞こえ過ぎた
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