バレンタイン企画夢(京一)
絶対、あげない
欲しかったら
アタシを捕まえて
甘えん坊チョコは誰の手に
『何だよーッ、チョコくれよなまえっ』
『絶対嫌、京一にあげるなら紫暮君にあげちゃうから』
アタシが怒るには訳がある。料理苦手なアタシがわざわざ壬生君に料理を教わってまで練習した、この…チョコレートケーキ。たまにはムードでも考えて、デートでもしようと待ち合わせしていたってのに…
『今のおネェちゃん綺麗だなーッ』
『……』
この雰囲気皆無男め…。事もあろうか今、正にデート中に他の女の子に目移りするなんてどんな神経してるんだ…
『悪かったって、この通りッ。もう一生しねェからっ』
『アンタの一生は聞き飽きたわよ』
夜風の冷たさからか、つん、と鼻が微かに痛くなる。何でアタシはこんな尻軽男の彼女やってるんだろう…。そう思うと自分が少し情けない
『なァ、機嫌直せって…』
『やーだ。』
京一が他の女の子に目移りする事なんて日常茶飯事で、慣れた筈なのに…アタシって可愛くないなァ…改めてそう思った。
『…今、ここでキスしてくれたら許してあげる』
こんな人が溢れた夜の新宿。キスされる側のアタシだって恥ずかしいのは百も承知だけど…それでも今日だけは京一を独り占めしたい…だって今日は女の子の勝負の日だから
『…分かったよ、だからちゃんと機嫌直せよ』
『……ん…』
触れるだけじゃない、甘い甘いキス。チョコレートケーキなんて比じゃないぐらいの甘さ…唇、吐息、抱き締められた腕から伝わる京一の温もり…
『…大好きよ、馬鹿』
『へへッ、可愛い奴』
今日は、今日だけはアタシも素直になろう…。このチョコは京一の前でしか甘くなれないんだから…
好きで好きでどうしようもない
愛すべきずるい男
080207めぐ
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