恋煩い
苦しくて、苦しくて…
この気持ちは何なの…
【恋患い】
『京一ッ…部活行くよッ』
アタシ なまえ、剣道部副部長。机で爆睡してるのが蓬莱寺 京一、剣道部部長。
『ん…授業終わってたのか…』
『寝ぼけてないで…もうすぐ大事な試合あるんだからっ』
いくら京一が誰にも負けないぐらいに強くっても、やっぱり部長として試合前ぐらいは練習に出て貰わなきゃと嫌がる京一を引っ張って体育館に連れ出し始めて早1週間。
最初は嫌がっていた京一も最近漸く部活動に参加し出していたって言うのに…
『あー…悪ィなまえッ…俺用事あんだよ』
『用事…アンタまさかサボる気じゃ…』
折角真面目に顔出し始めたと思ったらすぐこれだもん。何でこんなに好い加減なのに部長なんだろって思う
『ちゃんと後から行くからよッ』
『もう…約束だからねっ…』
やけに嬉しそうな顔の京一。一体今日何があるって言うんだろう…
『ま、アタシには関係ないかッ』
サボったらまァ、木刀で何十発か叩いて更正して貰おう、とさっさと荷物を纏めて体育館へと急いだ
『それじゃ、試合出る子はアタシと、それ以外の子はいつも通りのメニューで』
軽く準備運動をしてからそれぞれにメニューを言い渡して練習を始めた。京一は、まだ来ない
『はいッ…次っ』
『有難うございましたッ』
部活を始めて早一時間、正直一人で何人もの相手をするのは辛いものがあって、早く京一が来ないかって何度も体育館の入口を見るけど一向に姿を見せないし…
『ちょっと休憩しよっか』
アタシの一言で部員から歓喜の声が上がり、アタシは疲れて熱を持った身体を冷やそうと体育館の外に備え付けてある水道の元へと向かった
『ふぅ…冷たァ……』
冷たい水で何回か顔を洗って持って来たタオルで水滴を拭い溜め息を一つ。今日は何か、部活がつまらないな…
『来てくれたんですね、蓬莱寺先輩ッ』
『……ん』
聞き覚えのない声…だけど聞き間違え無かったのは蓬莱寺って名前。あんな特殊な名前、うちの学校には一人しかいない
『へへっ…当たり前だろッ…で、話って何だよ』
覗いてはいけない場面に遭遇している事は分かってるんだけど、駄目だって分かってるんだけど…
『私…蓬莱寺先輩の事ッ…』
京一の前に立ってるのは小さくて可愛くて…舞園 さやかちゃん似の純情派みたいな顔をしてて、そう…京一の好きそうな顔の子…
『す…好き…ですッ…私と付き合って下さいッ』
予想通りの展開に泣きそうになった。京一は同じ部活仲間で同じクラスで…それ以上の感情なんて望んでなかったのに…
『あ…駄目…泣きそ…』
多分京一はあの子と付き合う事になるだろう…分かり切ってる事だけど、それが許せなくって…その場から逃げ出した
『練習ッ…始めるよっ』
アタシには関係ない。京一が誰と付き合おうが、誰と何しようがアタシには関係ない。アタシにはもうすぐ大会って大仕事が待ってるんだから…ッ
『それじゃあまたさっきと同じように順に相手して行くから』
京一なんか来なくたって、一人で相手なんか出来るんだから…
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