夕闇に溶ける
仄かな体温さえ 愛しい。
【夕闇に、溶ける】
龍麻は今日は遅くなると言ってた。
お風呂も沸いたことだし、まだ日は沈んで無いけど冷めないうちに入ることにしよう。
なまえは脱衣所で服を脱ぎ、入れられたばかりの湯に体を浸す。
肉にするか、魚にするか。湯船のふちに頭をのせ、今夜の夕飯のメニューを考える。
肉にするか、魚にするか。
アタシ的には魚の方が好きだが、龍麻的には肉の方がいいような気がする。
アタシも肉は好きだし、でも最近肉ばっかりだから…
肉にするか、魚にするか…
魚にするか、肉にするか…
頭が肉と魚で徐々に埋め尽くされていくように、なまえの意識もしだいに朦朧としてきた。
その数分後、なまえは完全に夢の中へと落ちていった。
『おーい…生きてる』
うっすらと目を開けた。
さっきまで昇っていた太陽はもう沈みかけて、窓から差し込む光が橙色だった。
『うわ…ッ』
湯船の外にはタオル一枚の龍麻が立っていた。
『龍麻ッ…何でいるの』
他人に見られている訳でもないので、包み隠さず露な体。龍麻は今日遅くなると言っていた筈なのに。
『人をお化けみたいに言わないの。補習早く終わったから帰って来たらなまえの姿見当たらないからね。まぁ風呂でも入るかって思ったらこの様…』
寝ぼけていながらも、自分がとんでもない状態だということが良くわかった。
手足を丸め、一応女としての大事な部分は隠そうとする。そんな様子を見て、龍麻は湯船の中に体を沈ませる。
『今更何を恥ずかしがってるの』
にやりと不敵に笑う悪魔。
そう言いながらも、もう龍麻の手はなまえの胸部に伸びている。
『ちょ…ッ…龍麻っ』
そう叫び、 なまえは龍麻を近づけまいとする。と、いきなり龍麻がなまえに口付けた。
『んっ…ふぁッ…』
開いた口から侵入してくる舌に、甘い声が漏れる。と言っても、本人にとっては必死の抵抗の証であるのだが。
『何、ヤリたくないの』
『あ、当たり前…でしょ…ッ』
やっと唇を離した龍麻に、途切れ途切れに なまえが言う。
『仕方ないでしょ…もう火ィ付いちゃったし』
そう言って鎖骨に華を散らせていく。既に熱を帯びた身体に、唇の熱が心地よく感じた。いや、感じてしまった。
『だってなまえ昨日、京一と楽しそうに話してたでしょ…』
平然とした口調で、龍麻は次のステップに進む。
『嫉妬してるの』
なまえが力なく笑う。
『そう、かもね…』
そう言い、なまえの飾りを口に含んだ
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