ニヒルなヒーロー
ちょっとのピンチだって
貴方がいれば怖くないから…
【ニヒルなヒーロー】
『君達、自分が一体誰に断って彼女に話し掛けたんだい』
いつから後ろにいたのか、いつ後ろに立ったのか…なまえを取り囲んでいた男子生徒達の後ろには壬生の姿…
『げッ…み、壬生…』
『く…紅葉…』
男子生徒達に囲まれ今にも泣き出しそうななまえにちらりと目を遣ると、再び男子達の方へと向き直り、鋭い瞳で睨み付ける
『今すぐに立ち去るのなら見逃してやらない事もないが…』
『かッ…帰ります…っ』
壬生が両手で構えた途端に男子達は鞄を抱え一目散に立ち去ってしまった…。その光景をなまえは驚いた顔で見つめていた
『…怪我は、ないかい』
『え…あ、うん…』
壬生はなまえの無事を確認し、先程の凄まじい形相とはうって変わって穏やかな表情を浮かべると直ぐ様なまえの横を陣取った
『あれほど校門で待つなと言ったのに、まったく…』
『だって…早く紅葉に会いたかったし…』
恥ずかしい事を平気で言って退けると、なまえは壬生の数歩先を歩み始めた。
一方の壬生はなまえの一言に少々顔を赤らめ、ゆっくりとなまえの後ろを歩いた
『あ、でもさ…紅葉って学校では番長みたいなんだねッ』
くるりと向きを変え、壬生と目を合わせながら指をぴんっと口元に寄せ、なまえは後ろ向きに歩く
『…番長』
『そッ…だってさっきの人達、紅葉見た途端に逃げ出したしッ』
さしずめ暗殺集団の番長とでも言いたいのだろうか…
『なまえは僕が番長だと嬉しいのかい』
『うんッ…ニヒルな番長、而してその実態はッ…みたいなっ』
どう考えても自分は番長と言う柄ではないのだが…やけに嬉しそうに話すなまえを見ると呆れですら愛しさに変わって行く
『それで、紅葉の実態……え…ッ』
壬生の実態を伝えようとしていた所、ふいに壬生に腕を掴まれ壬生の方へと引き寄せられる。
『く…紅葉…』
一瞬何が起こったか分からなかったが、抱き締められた瞬間に香る壬生の香り、そして力強い壬生の腕の温もりはしっかりと感じられた
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