雷鳴
こんな雷の響く夜は…
雷鳴
『きゃあああ!!』
『!?な、何だ?』
こんな雷が激しく鳴ってるのに、愛しの彼は相変わらず読書…
『だっ…だって今光った!』
『…雷か…そんな事でいちいち驚くなよ』
相変わらずアタシの行動には無関心な彼。普通は寄り添ってくれたりするんだろうけど、劉はいつも読書に夢中なんだ
『……』
『…ねぇ、怖いんだってば』
光ったんだもん。雷が鳴ってるんだもん。劉に側に居て欲しいんだもん…
『劉、寝ないの…?』
『もう少し読んでから寝る…』
布団の上で胡座をかいて、片手で本をめくりながらアタシの質問に答える。
何かね、隣にいるのに凄く凄く疎外感を感じちゃう…
『…!な、何だよいきなり?』
『構って…』
劉の後ろから抱き着いて、アタシの出来る精一杯の甘えを囁いてみる
『もうちょっと待てって』
『今じゃなきゃ嫌…』
外は大降りの雨、空には雷が轟く。いつこの寺に落ちて来るかも分からないのに、一人で震えてるなんて嫌…
『…仕方ないな…なまえには負けたよ』
ハァッと溜め息をついて、漸く手にしていた本を閉じて、アタシの頭を柔らかく撫でてくれる
『俺より年上なのに雷なんか怖がるなんて…子供みたいだな?』
『怖いもんは怖いんだもん…』
拗ねたように口を尖らせると、劉は子供をあやすみたいに柔らかく笑って、また優しく頭を撫でてくれる
本を読む劉の顔も好きだけど、アタシはこうやって頭を撫でながら笑ってる劉の顔が一番好き…
『ねぇ、一緒に寝てくれる?』
『どうしようもない甘えん坊な子供には子守歌でも聞かせないとな』
相変わらず雨は土砂降りで、雷は光っては物凄い音を立てていたけど
劉の側は安眠効果があって、雷の音さえも心地良く聞こえた
070212めぐ
121103編集
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