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Cohabit

(街角Twilight-3-)
さあ、共同生活の始まり始まり




靴が棚に綺麗に並べられた玄関を過ぎれば一面真っ白な廊下が続いており、小さな城と思うのも無理ない程に珍しい絵画や花瓶が飾られている。それでいて家賃は並以下ともなれば一石二鳥だと辺りを見る程にナマエは思った。


こんなお城みたいな民宿、そうそうないよ…


その廊下を少し歩けば見えて来た開けた部屋。見れば住人だろうか、人が数人集まっている。愈対面…そう思えば緊張は今までとは比べものにならない程。物事は始めが肝心、人見知り云々は言ってられない、とナマエは広間に足を踏み入れ大きく息を吸う


『は、初めまして…ナマエです…っ』


語尾が少し裏返ってしまったような気もするがナマエは深々と頭を下げ降ろす。それからゆっくりと顔を上げればまじまじと自分を見つめる住人達の姿があった


『中々、可愛いじゃねェの…』


ぼそりと呟いたアクセルの言葉の意味はナマエに伝わる事がなく、ナマエは唯前に立つアクセルを見上げる。


何だか怖そうな人…


そんな事を考えているとシオンがナマエの横に立ち、口を開いた。


『ナマエ、紹介するね。一番左からアクセル、ロクサス…』


『お、俺デミックス…っ』


シオンが順に紹介していると勢い良くデミックスが見を乗り出して来る。一体何事かと周りにいた人間皆が思ったが、それ以上にナマエは驚き思わず後退りしてしまった


『ど、どうしたのデミックス』


言葉を途中に、シオンも目を見開く。恐らくデミックスの急な行動の意味に気付いたのはアクセルだけであっただろう…


『なァ、お前何か楽器は弾けねェの』


『え、えっと…』


眩しい程の笑顔で言葉を投げ掛けるデミックスの様子は先程のシオンに引けを取らず、突然の事にナマエは何も考えられずに言葉に詰まってしまった


『おいおい、ナマエが困ってんだろ』


アクセルが一旦は押さえたものの、デミックスは矢張り眩しい笑顔。


『分からない事あったら何でも聞けよっ』


『デミックスじゃ頼りにならないだろ』


ロクサスの言葉にデミックスは振り返り、兄弟喧嘩の様な言葉の争いとなる。次々と変わる空気に流石とも言うべきか、王国荘の住人は驚きもしない。自分だけが話について行く事が出来ないのだと、仕方がない事であったが少しばかり落胆してしまう


『ったくお前等なァ…ナマエ、気にしなくて良いからな』


『あ、はい…』


そんなナマエの様子を見ていたアクセルは優しくナマエを気遣い、肩を叩く。


アクセルさんって顔はちょっと怖いけど、なんだか良い人だな…


見る限り、この中では最年長であり恐らく纏め役だろうアクセルを見上げ、未だ兄弟喧嘩擬きを続けるデミックスとロクサスを余所にナマエはぼんやりと思っていた。


『あの二人は放っておくとして、ナマエの荷物部屋に運ぶね』


アクセルに次いで落ち着いているシオンは持っていたナマエの鞄を胸の位置まで持ち上げると先程入って来た入口へと身体を向ける。その途端…


『俺が運ぶっ』


ロクサスと騒ぎながらも、ちゃっかりシオンの言葉を聞いていたのか、デミックスが明るい声を上げた。


『え、あの大丈夫で『シオンの隣の部屋だよなっ』』


ナマエの控え目な制止すらも遮るデミックスの勢いは、最早止まる事を知らない程。


『えっと…じゃあお願いねデミックス』


『あ…あの…っ』


てっきり止めてくれるだろうと踏んで期待していたシオンでさえもがデミックスに鞄を渡してしまう。デミックスは明るく返事をすると嬉しそうに部屋を後にしてしまった


『…馬鹿なやつ』


アクセルが呟いた言葉を背に、仕方なくナマエはデミックスの後を追う事にした。


今後に対する少しばかりの不安を抱きながら…


















(季節外れの春到来)


やばい、電波がビビビッて来た。





(Cohabit)


















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091210めぐ(訂正100313)
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あきゅろす。
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