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Backdate

(街角Twilight-2-)
時は遡る事少し前…




時は遡る事少し前、新しい入居者を迎え入れる準備に王国荘の住人達は追われていた。否、恐らくシオンは掃除に追われていただろう…


『女の子だってよ』


『女の子、ねェ…』


手に雑巾を持ってはいるものの動かす様子もなく、新しい入居者について語る青年が二人。シオンからは新しい入居者が女性であり高校生である…という至極簡単な情報しか教えられず、二人がナマエの話題に華を咲かせるのも無理はなかった


『気の強い女は勘弁だよな』


『お前、へたれだもんなァ』


一人の青年の言葉に言われた側の青年はしどろもどろに違うと返すも全く否定になっておらず、寧ろその弱々しい回答は彼が言葉通りの人間である事を強調する。


『それにしても珍しいよな…この時期に入居者なんて』


『ロクサス…お前この寒いのに良くアイスなんか…』


キッチンからひょいと顔を出したのはロクサス。任せられたキッチンの片付けが終わったのかは定かでなかったが、アイスを銜えている。この時期…普通ならば新学期、新生活を迎える春の季節に新しい入居者はやって来るものであったがナマエは正反対の冬に入居志願。少なからず住人の誰もが不思議に思う事であった


『もうっ、皆掃除してないじゃない』


丁度その時、皆の集まる広間へとやって来たシオンは全く片付いていない広間を見て落胆した。誰かは掃除してくれているだろうと一人ナマエの部屋を片付けていたシオンの予想に反し、誰一人として掃除らしい掃除をしていなかったとなれば落胆してしまうのは無理もない話


『客じゃねェんだから、んな片付けなくても良いだろ』


『とか言ってお前自分の部屋片付けてたじゃん』


ばれてしまえば仕方がないと言わんばかりに広間に存在する内の一人…アクセルは雑巾をふらふらと揺らして開き直って見せる。それでも昨晩部屋を片付けていた様をデミックスはしっかりと目撃していた


『アクセルの部屋に住むのか』


『そんな訳ないじゃない、アクセルの部屋なんかに住んだら食べられちゃう』


ロクサスの素朴な疑問にシオンは即答で返す。そんなに盛ってねェよとアクセルが誤解を解こうとするも日頃アクセルが連れ込む女性の数を数えてみれば誰も賛同はしなかった。


『彼女はあたしの部屋の隣が空いてるからそこに住んで貰うの』


そもそもアクセルが部屋を片付けようとも女性陣が王国荘の2階に部屋を構える事が王国荘の決まりである。女性が少ない事で2階にはスペースが有り余る程、現在はシオン以外に女性はいない。入居が決まった際に最も喜んだのは同性であるシオンだった。


『楽しくなると良いな。あ、アイス食べるかな』


『俺髪型直して来る』



表現は様々なれど住人が新たに増える事が嬉しいのか、男性陣はナマエが来る時間が近付くに連れ妙にそわそわとしている。デミックスなどは慌ただしく洗面所へと向かってしまった


『もう、皆早く掃除……』


掃除を促そうとシオンが服の袖を捲る仕種を見せた途端、玄関のチャイムが慌ただしく鳴る


その音に男性陣の表情が緊張の色を示した事は言う迄もなかった















(王国荘へようこそ)


共同生活の幕開け



(Backdate)















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091210めぐ(訂正100312)
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あきゅろす。
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