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(【実況】転校先がまったり実況【千馗】)
朝8時30分、そろそろクラスに人が大量に押し寄せて来る時間帯。自分のクラスでもないナマエが俺の教室の前をうろうろしている姿を見ればついつい話掛けたくなる。それがまた、意味深にクラスの誰かを探している感じだったから尚更だ。
『ナマエ、』
『ひゃあ…っ』
【奴】以外の存在ははっきり言ってナマエの目には映っていなかったに違いない。驚きの余り教室の扉を突き破ってしまいそうな勢いでナマエは教室の扉に激突する。これ何て萌ゲーかと思わんばかりのナマエの反応に全国のロリコンはシャッターチャンスだっただろう。
『燈治ならまだ来てないけど』
『…ち、違うよそんなんじゃ…』
【奴】、壇 燈治はナマエの想い人だ。それはもう、もし俺が主人公でナマエを落とそうとしていたならバッドEDフラグが立ちそうなぐらいに熱烈。それでいてこちらにはバレバレだってのにお互いが想いを隠そうとしているのだから甘酸っぱーな青春な訳だ。
『あ、燈治』
『ひっ』
そんなリア充に報復を、という訳で燈治がいつも登場する教室の窓を指差せばナマエは思わず俺の後ろに隠れる。どうしてナマエがこれ程までにロリオタを刺激するような行動を取ってくれるのかは謎だ。恐らくこの幼児体型がそうさせているのか、将又実は俺自身がロリコンか…
『嘘。』
『も、もうっ、びっくりさせちゃ嫌だよ』
取り敢えず可愛いナマエの反応を見る事が出来たので、今日はブログネタは豊富だろう。なんて思いながら後ろを振り返ればこれまた面白そうなネタが自ら登場だってんだから今日はツイてる。ブログついでにツイッターも更新しよう、そうしよう。
『嘘じゃねェけどな』
『きゃあああ…っ』
俺達のやり取りをどこから見ていたのかは、これまた謎。ナマエの想い人、壇 燈治のご登場だ。この絶妙なタイミングと言えばどこぞの少女漫画に良くある、曲がり角でぶつかって始まる出会いに近い。
『…んな驚いてんなよ。人が久しぶりに窓以外から登校したぐらいでよ』
『うーん。燈治の鈍さに全国の女の子が涙目だ』
いやいや、そこに誰も驚いてないだろ燈治君よ。腕を手前で組みながら俺が突っ込むと、燈治の眉間の皺がちょっぴり増えた気がするのは俺だけではない筈だ。
『意味分かんねェっての。で、お前朝からうちのクラスにどうした』
『え、あ…あの…』
俺への突っ込みも忘れずに熟した後、ナマエを見ると言葉を一つ。話題を振られたナマエが言葉を濁すと、言いたくないなら無理する事ねェけどな、と付け足す。
『うーん。燈治の優しさに全国の妹キャラが』
『…しつけェよ』
今度の突っ込みは間を置く事も、俺に最後まで言わせてやるという優しさの欠片もない。好きな相手と相棒への態度が違うなんて事あって良いのかと、逆に突っ込んでやろうと思ったが…
『と、燈治君…あの、きょ、きょ、今日…』
意を決したようなナマエの表情に免じて、言わないでおいてやる。
『今日よ、良かったら一緒に…か、帰ろう…』
良く言ったナマエと内心ガッツポーズだ。まるで初めて要求をする子供に感激するような微笑ましさ。これは全米が感涙、目に涙、スタンディングオベーションもの。だと言うのに…
『、いっつも一緒に帰ってなかったか』
『うーん。燈治の鈍さは零を上回るかもしれない。目から汗だ。』
ここに蒐が居たら四角くないとキレるところだ。若しくは俺が三角定規をぶっ刺すところ。ナマエの目に涙が溜まっているのを見て俺が盛大な溜め息を吐くと燈治の眉間に皺追加が入りました状態。
『お前何なんだ今日』
『問題ない。問題ないがお前はミカみゅんに食われろ。』
おい、笑えねェよと燈治が言葉を吐くと同時に強制終了と言わんばかりにチャイムが鳴り響く。そして黒板の隅に書かれた日付を見て燈治が真っ赤になったのを俺は見逃さない。
(彼の鈍感は筋金入りだ)
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110201めぐ
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