指輪(魔人*龍麻)
恋愛模様、十人十色
(Case-1・指輪)
どうしようもない程に愛する、そんな人を羨ましいとは思えなかった。恋愛なんてアクセサリーの一つ。着飾れば着飾る程に美しくなる反面、鏡に映った自分を見てどこか重苦しくて虚しくなる
だから調度良い指輪程度が欲しかった
さり気ないお洒落じゃなくて、どうせなら大きいダイアモンドを幾つも相知らった、派手な指輪が欲しいから
『初めまして、龍麻です』
1回3万円にホテル代を1万。それでこれ程までに容姿端麗な男を連れる事が出来るなら安いモンじゃないか
適当に登録したサイト、っと言ってもそれなりに条件を満たしたサイト。チャラチャラとした若い男ばかりの馬鹿げた、盛り期のサイトではなくサイトのデザインから拘るものでないと嫌だった
貴女の欲しいものは何ですか
目に留まったのはサイトに書かれたその言葉。自分が欲しいモノなど自分ですら分からなかった。親に言われる儘に通った高校や大学、友人関係も至って普通、異性関係も人並みに熟した
だけど何か足りない…
そう思ったのは結婚すら考えていた男性との別れがきっかけだった。今となってはあの時結婚していればこのサイトに惹かれる事なく子供を授かり人並みの幸せを手にしていただろう
私は人並みでは終わりたくないのかもしれない
『数ある中で俺を選んでくれて有難う、ナマエ♀さん』
『…っ』
彼、龍麻の瞳は透き通る程に綺麗な色をしていた。細めた瞳にはどこか惹き付けられ、艶を見せる声色で名前を呼ばれればまるで無重力の世界に浮いているような感覚に襲われる
『いきなり抱くような事はしないから安心してね』
金を払って手に入れた時間…正直慣れない世界に足を踏み入れたナマエ♀は取り敢えずの情事を先に済まされるのだと勘違いしていた。ナマエ♀自身そちらの方が何を話せば良いか分からない時間を無駄にするより良いと思い、心の準備はさておき身体は準備万端であった分焦らされるような錯覚に陥った
『』
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