狂おしい程に望む(BASARA佐助)
俺様にしとけば良いのにね
旦那の様子もナマエ♀ちゃんの様子もおかしい。特に旦那ときたらまったく…分かり易いにも程があるぐらいに沈んじゃってまァ…
『ナマエ♀ちゃん』
『佐助様…』
俺様を見た瞬間のナマエ♀ちゃんの顔と言ったらまるで怒られる前の子供の表情ぐらい泣きそうな顔をしていたもんだから、取り敢えず怒るつもりじゃない意思を伝えてみる。
『最近旦那元気ないね』
『そ、そう…ですか…』
必死に表情を隠してるつもりなんだろうけどね、ナマエ♀ちゃんは真田の旦那ぐらい表情が読み易い。旦那とナマエ♀ちゃんとの間に何かがあった事は一目瞭然
『で、ナマエ♀ちゃんは逃げるつもりか』
『な…何の事だか…』
飽くまで白を切るつもりなんだろう…相手が旦那なら未だしも、ナマエ♀ちゃんが誤魔化そうとしているのは旦那じゃなくてこの俺様。そこん所ちゃんと分かっといて貰わないとね。
『ナマエ♀ちゃん、俺様に誤魔化しは効かないぜ』
『…っあ』
瞬間に距離を詰めて腕を掴めば明らかに顔を歪める。だけどその顔は見る見る内に泣きそうなものに変わり、それを隠すかのようにゆったりと笑った。
『逃げているのではありません…戻るのです』
『旦那が未だ、ナマエ♀ちゃんを知らなかった頃みたいに、か』
核心を突く俺の言葉にナマエ♀ちゃんは一つ頷く。旦那が##name1##ちゃんを知らなかった頃に戻れば想いもまた同じ…
唯、それは単なる絵空事でしかないんだけどね…
『幸村様程の御方が私などを気に掛けてはなりません…あの方は信玄様と共に天下を、民を背負う御方。私などあの方には相応しくないのです』
言ってる事は理に適っているものかもしれないし、ナマエ♀ちゃん自身言葉の意味を理解している。それだけなら俺様も何も言わないんだけどね。
『そんな泣きそうな顔で言われても説得力ないぜ』
『…っ』
惚れた女が目の前で惚れた男を諦めようとしていて、ひょっとしたらこれは二度とないぐらいにナマエ♀ちゃんを手に入れる機会かもしれない。
奪うのは簡単…でもないけど
『俺様にしとけば良いのにね』
奪うよりも困らせるだろう俺様の気持ち。叶う事ないって分かってるんだけどね、どうも微かな可能性に賭けてみたくなったというか
『ナマエ♀ちゃんがどうしても旦那を諦めたいのなら、俺様のモノになったら良いと思わないか』
『そ、れは……そう、かもしれないですけれど…』
最低だなんて、今更。最低だろうがナマエ♀ちゃんを手に入れる事が出来るのなら俺様は卑怯な手だろうが何だってする。卑怯な手でも、使わなきゃ意味のない戦法…ってね
『何なら、無理矢理連れ去ろうか』
『…っ』
閉じ込めて、旦那の手の届かない所まで
どうせなら動けない様にしたって良い…
笑って見せるけど内心は至って本気、そんな俺様の表情に気付いたのかナマエ♀ちゃんの表情は一緒にして怯えたものになる
駄目だね、そんな表情すら愛しいと思っちゃうんだからさ…
『佐助ーっ、佐助、どこにおるのだーっ』
『幸村、様…っ』
聞こえたのは旦那の声
逃げ道のない行き止まりは選択肢すら、与えるつもりもない
『さァ、どうするナマエ♀ちゃん。俺様の手を取れば、この場からは逃げられるけど…』
熟々、俺様は非情なのかもしれないね
(選択肢のない、行き止まり)
さァ君は、どこに行きたい
(狂おしい程に望む)
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