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裏の裏、そのまた裏(鬼祓師*燈治)

裏の裏、そのまた裏
結局、そういう事になる




クラスの子が彼を見て、あたしを見て、必ず言う事がある。ナマエ♀と壇君は何で付き合っているのか。余りに正反対過ぎて、不思議だと、言う。壇君は喧嘩っ早くて乱暴で、授業中は殆ど寝ている。なのに休んだ事はない。付き合い難い彼氏を持つと大変だね、と労いの言葉を掛ける人も中にはいる。


だけど、そんな事はない。ある訳がない。皆が言う程、壇君は付き合い難い人なんかじゃない


『あ、やっぱり』


『よォ、遅かったな』


燈治君は毎日、お昼休みを屋上で過ごしている。たまにどこかのカレー屋さんにまで出掛けているみたいだけれど、最近は屋上でパンを食べている。パンとスナック菓子と、透明なボトルに入った水。如何にも男子高校生が摂る食事。


『あたしもパン買って来れば良かったな…』


『購買のパンより、作ってくれる弁当のが良いだろ』


燈治君は、ぶっきら棒な言い方をするけれど、不思議と嫌な気持ちにはならない。じんわりと心にゆっくりと染み込んで来る、それでいて温かい、優しい気持ちが溢れてる。それはきっと、あたしだけが感じる、燈治君の柔らかい部分。


『ん、半分やる。その唐揚げくれよ』


『わァ…有難う燈治君っ』


受け取った焼きそばパンは、半分よりも多くて、紅生姜の部分もちゃんと残っている。その小さな優しさも、あたしの胸で大きく膨らんで、それだけでお腹がいっぱいになってしまう気がした。


『お前のお袋さんって料理上手ェよな』


『うん、自慢のお母さんなのっ』


お母さんが作ってくれた、冷凍食品ではない唐揚げを頬張りながらお母さんの事を褒めてくれた。自分が褒められている訳でもないのに、その一言が嬉しく思う。目一杯の笑顔で答えると燈治君は一瞬呆気に取られたような表情を見せてから、小さな溜め息を吐く。


『馬鹿、そこは自分も料理出来るって言うところだろ』


『え…え、そうなの』


まさか、そんな意味が込められているとは予想もしていなかったから、思わず出たのは間抜けな声。



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