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踊ろうかマイハニー

(踊ろうかマイハニー)
俺が手を引いてあげる




月詠学院の学生寮、響いてはならない筈の男子寮から響く女子の声は止む事なく響く。床を悔し気に叩くクッションの音に、勝ち誇った男子の笑い声。それらは全て、一つの部屋から響くものであった。


『あーっ、亮ちゃん狡いッ』


『へへっ、また俺の勝ちー』


二つのコントローラーをゲーム機に繋ぎ、テレビ画面に映る二つの結果。その画面は元がそうであるかのように、必ず左側に負けと映され、右側に勝ちと映されている。その画面を見、ナマエはばたばたと悔しさを身体で表現している。


『もうっ、亮ちゃん強いよォ…』


ナマエは勝負相手である結崎に勝てた試しがない。どんな戦い方で挑んだとしても、必ず最後には自分の選んだキャラクターが倒れている。一度でも勝てたならば、ここまで悔しがる必要もないのだが、ナマエのキャラクターが最後まで立っている事はなかった。


『さァて、負けた方が罰ゲームだよな』


にやり、と結崎が笑う。ナマエが悔しがる理由のもう一つはここにある。負けた方が罰ゲームという結崎が決めたルール。一度で良いから結崎に罰ゲームを味わせてやりたい、その願いも虚しく毎度罰ゲームを受けるナマエ。それが今回も自分に回って来た事が悔しくて仕方がない。


『ナマエ、俺にキスして』


『ええ…っ、そ、そんなの無理っ』


更に言えば結崎は必ずナマエにとって無理難題を押し付けて来る。今回の命令は自ら結崎にキスを落とせとの事。ナマエの反応は恐らくは結崎の想像通り。結崎の命令にナマエが首を大きく横に振る事すら、結崎にとっては安易に想像出来る。結崎はナマエの反応を嬉しそうに眺めると、困り果てたナマエに手を伸ばした。


『じゃあ俺からするー』


それならば文句あるまい、と結崎はナマエを抱き締めて押し倒す。結崎からキスをしてくれるならばナマエが困る要素は全く存在しない。ところが問題はそこではなく、余った結崎の片手にある。ナマエの部屋着に何の躊躇もなく忍び込む結崎の右手。間違いなくキスだけでは済まさない事を示していた。


『ば、罰ゲームじゃない…っ』


『俺が得したら罰ゲームだろ』


その一言にナマエが黙る事すら、結崎の手の内であるか否かは、結崎のみが知っていた


















(彼女が彼に勝てない理由)


惚れた弱みってやつで、



















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100610めぐ
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