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盗ませるお前が悪い

(盗ませるお前が悪い)
次元違いの馬鹿に悩む




夜の公園に響いた物音も、人気のない今では多少大袈裟であったとしても、何事かと思う者の方が少ない。例えその音が、受け身の体勢を取る事の暇さえ与えられなかった人間の倒れる音であったとしても、対した問題にはならなかった。

『ちょ、スト…ストープッ』


『…何だよ』


いきなり何だと、上に伸しか掛かる獅子丸に制止を呼び掛けるも、獅子丸の手はナマエの衣服を掴み、簡単に脱がしていく。突然の出来事に獅子丸を留めようと、近場に何か叩くものはないかと手を弄るも、掴んだのは敷きっ放しとなっている薄い毛布一枚。気楽なホームレス暮らしも、何かあった時の為に木製バットでも用意しておけば良かったとナマエは痛感する。


『いきなりなら拒否の仕様がねェだろうが』


『…怖い事をサラっと言うんじゃないわよ』


宿無しである獅子丸を自宅とは名ばかりのテントへ招き入れてから数週間。いつかこうなるだろうと予感していたものの、予想以上に獅子丸の我慢は緩いものであった。押し倒された今、狼のような獅子丸の瞳に、逃げ切る事は不可能だと本能で感じる。然しながら簡単に奪われまいとナマエ力一杯獅子丸の胸を押し返した。


『俺がヤリてェからヤる。それで良いじゃねェか』


『良くない。あたしがそんな気分じゃな……こ、こら…っ』


余りにも単純で不純な動機に、一瞬力が抜けてしまう。その瞬間を獅子丸は逃さない。ナマエを纏っていたTシャツを腕まで捲り上げると抵抗出来ないようにきつく縛る。女性一人を縛り上げる事など、自分にとっては造作もない事だと言わんばかりに笑う獅子丸の笑みが薄暗がりと共に、月に照らされる。


『強行手段。温和しくヤられろ』


『さ、最低…っ』


テントを形成する薄い布一枚隔てた向こう側に漏れた声は、ナマエ自身が想像していた声よりも甘いものであった…



















(拒否権があったとしても)


拒否権で打ち返されて試合終了



















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100610めぐ
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