唯、一度──(MM配信中)
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喉が潤うに従って鋼のは私の真意を計ろうと問い掛けて来て。それを私は鋼のに気付かれない様注意深くはぐらかし、時間を稼いだ。
熱いお茶に混入させた媚薬は鋼のの無防備な血液に流れ、鋼のを蝕んでいくのをじっくりと待つ。
次第に鋼のの態度は妙にそわそわとして、落ち着きが無くなり。仕舞いには突然会話を切り、言った。
「……大佐。やっぱ俺帰るわ」
「何故? 用件が済んでないだろう」
「いや、……急用思い出した」
しどろもどろに告げた言い訳は、真実味が無く、鋼のが今どれだけ冷静では無いか図るには充分だった。
「急用……とは?
上官の話の途中で退席する程の用事なのか?」
問えば、鋼のは言葉を詰まらせ俯き自らの肩を抱いた。
自分の躰の変化に気付き焦っているのが見て取れた。
頬はうっすらと朱に染まり、勝ち気な眸は潤みを帯びている。
「良いだろう。ではまた後日」
態と大袈裟に溜息を吐き許可すると、鋼のはホッと安堵した様に強ばらせた肩から力を抜いた。
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