唯、一度──(MM配信中)
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鋼のが瓶を揺らすと、中身の薄いピンクの、粘度の高い液体がプルプルと震える。
「使った事は無いかね?」
私は敢えて質問には答えず、含んだ言い方をする。
「だから、コレ何だよ?」
「検討も付かないか。ウィンリィ嬢とはまだ浅い関係なのかな?」
訊ねた私の言葉の意味を理解出来ないらしい鋼のは先程から繰り返される遠回しな言い方に苛立ち始めていた。
「どういう意味か分かんねえよ。ちゃんと説明しやがれ」
馬鹿にされてる様で腹が立つのだろう。舌打ちし睨み付ける。
「まぁ、そう怒るな。お茶でも飲みながらゆっくり説明しよう。
コレの使用法を教えてやろう」
「──‥…、使用法?」
「あぁ、君も気に入ると思うがね」
鋼のは怪訝な顔で見遣り、私の思惑を探る。
此処で逃げられては困る。私は弛みそうな口元に意識を集中させた。
「無理強いするつもりは無い。鋼の……君が望むなら、だがね」
そう言えば、鋼のは食らい付いてくるだろう。
「聞かせて貰おうじゃないか。話はそれからだ」
単純な人間は扱い易い。
ドカッと音を立てソファーに腰掛けた鋼のに気付かれない様にほくそ笑み、お茶の用意に取り掛かった。
片方に予め用意していた媚薬を混ぜ、鋼のの前に置いて反対側のソファーに腰を下ろした。
「砂糖は要るかね?」
「いや、要らない」
鋼のは何の疑いも無く紅茶に口を付け、一口、二口と啜る。
人払いはしてある。
時間もたっぷりある。
さぁ、その身にじっくりと教えてやろう。
鋼の───。
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