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3Z卒業後篇/半同棲【泣かない/エロのみ】



「イッ……!!」
「ごめん!? ……ごめんな、」
「大丈夫……もう1回、して?」
「無理だって。痛かっただろ。傷になってないか見せろ」
「! 嫌だそんなとこ! あっ! やめろよぉ……」
「ダメだ。辛い思いさせんのァ、俺が嫌だ」
「あっ……! やめろっ、てば……! ぅうっ、」

痛いよな。
まだ挿れたことないもの。ホンモノは。
指がやっとなんだけど、どうしてもって言うしそう言われちゃったら俺だって喜んじゃうってもんだ。
でも。

「ごめん。痛かっただろ」
「……っ、」
「ごめんな。もう今日はしないから」
「……ぅっ」
「ごめん」

俺の大事な土方くんは、ふるふる震えて俺の胸に隠れてしまった。
ああ、これは、きっと

(でも意地でも教えてくんねーだろうな)




俺の可愛い土方くんは、人前で泣くのが大の苦手です。






「いだぐないッて、いっだだろ! ひくっ」
「あー……、そうだね。そうだけども」
「おれのいうごとがッ、しんじらんねーのがッ!?」
「そりゃあオメー……」
「なんだよ!」


だって泣いてるじゃん!


痛くなかったなんてウソだもの。
ぶわって、脂汗噴き出したもの。

「もっがい、する! えぐっ、」
「しないしない。ほら、俺の息子さんがビビって謙虚に反省してるから!」
「ごんじょうなじ!」

すげえ怒ってる。
けどこれはきっと、

「あのさ、もともと突っ込むように出来てないトコなんだよ。時間かかって当たり前なんだって」
「……ッ」
「な? 焦ることない。ゆっくりしよ?」
「……」
「十四郎?」
「……うぅ」

受け入れられなかった自分を責めて怒ってるんだ。
勝手に竦んじゃう身体や、勝手に出てきちゃう涙に怒ってるんだ、この子は。

「ごめんね。次は優しくする」
「いだぐない!」
「うん。俺が悪かった」

そんなに頑張らなくていい。

なあ、俺たちがしようとしてることは、辛いの我慢してすることじゃないんだ。
気持ちいいから、だからすることなんだ。
おまえの体と俺の体が繋がることが大事なんじゃない。
繋がることで、幸せな気持ちになれるのが大事なんだ。

「修行じゃねんだから。わかる?」
「……」
「ヤんなきゃいけないことでもない」
「……っぱり、したく……い、んだろっ」
「そうじゃないって」

十四郎の頭を抱き抱えて、背中をぽんぽんしてあげた。泣いてることに気づかないフリできるから。

「したい。抱きたい」
「……」
「ずーっと、こうできたらいいと思ってた。いや……俺ァ教師だからよ。こうしたいって思うことも禁じてた。自分に」
「……!」
「おまえが忘れないでいてくれて、恋人になってくれて……、触ってもいいって言ってくれて」
「……」
「大事にしようって決めたんだ。わかるか」
「お、れもっ、おなじ……だっ」
「いんや。オメーはわかってない」


指通りのいい髪を撫でたら、もう隠せなくなったみたい。
ひぐっ、ぐすって盛大にしゃくりあげてる。

「こんな悲しい思いさせたくねーの。ちゅーする、抱っこする、触りっこする、その続きで繋がりてえの」
「だって……やめっ、ちまう、だろ! いつもッ」
「気持ちいいコトなんだ。怖いコトじゃないし、我慢することでもない。俺もおまえも、両方気持ちヨくて、もっとしたいって思えるくらいイイことしたい。辛いの我慢するんじゃなくて」
「……ぅっ、ひくっ、」
「正直に言ってみ? 怖い?」

怖いだろう。
初めてこの子の快感を引き出したとき、俺は怖かった。失敗したらどうしよう、傷つけたらどうしようって。
そのせいで自分が疎かになって、結局ケンカしちゃった。今だって傷つけたんじゃないかと思った途端、自分の欲なんか引っ込んじまった。

こっから先は俺はもちろん、この子だって自分のカラダがどうなっちゃうかわからない。
カラダの中に異物を入れられるんだ。
そりゃ怖いよな。

「怖い、だろ?」
「……ふっ、ひぐ……ぇっ」

小さく縦に揺れた、黒髪。

「……そいつを、見ないフリすんな」
「……?」
「怖いのァ当たり前だ。俺だって怖い。オメーが正直に言ってくれねーと、どこまで大丈夫なんだかわかんねー。壊しちまったらって、こえーんだぞ」
「……!」
「怖かったらそんでいいんだ。何が怖いのか、一緒に考えられるだろ? オメーが意地張ってたら俺はどうしようもないんだ。それが、俺は怖い」
「……ぎ、ん」
「苦しいの隠して何度もシて、これがコワイ行為だって覚えられちまうのも怖い。わかるか、十四郎」

「いつか……キモチいって思えるのか?」

元生徒は、涙を堪えて真剣に尋ねた。




えっ……?
全然キモチくないの……!?
指とか、え、けっこう感じてくれてたんじゃないの!?




「そうだな……まず、イヤなこととイイことを、ちゃんと正直に言えるようになることから、かな……」

目眩を堪えて歳上の蘊蓄っぽく答えてみたら、わかった、そうする、と、生真面目な答え。


ちょ、俺ヘタクソってことォォォォォ!?





「ぎん、どうした?」
「なんでもねーッ!」
「な、泣いてんじゃねーか!? どして!?」
「なんでもねーッてば!! おら寝んぞッ」
「??? お、おう……」


 

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