もっと甘やかしてやりたい。 骨の髄まで俺の成分が染み込んで、ぐずぐずになってしまえばいい。 俺なしでは立ち上がることもできないくらい、とろとろになればいいのに。 恋人相手にそんな危険なことをときどき考えてしまう僕、坂田銀八(年齢?聞いてやるなや)。職業は高校教師なんだなこれが。 「……」 「どした?」 「……なんでもねえ」 可愛いかわいい土方くんは、ときどき妙に無口になります。 いや、もともとクールでカッコいい子なんだけどね。 『妙に』なんだよ。 無言で近くに寄ってきたり。 そっぽ向いてるくせにそうっと寄り添ってきたり。 なんとなく視線を感じてそっちを見ると、じっと見てたり。 バレたって思うと慌てて離れちゃうけど。 そんなときはこっちから黙って寄りかかってあげる。 そういうときはこの子は文句も言わない。ただ、静かに体温を分け合う。 それはベッドの上でも同じなのがかわいい。 軽いキスを何回かして、2人静かにからだを暖めあうのは心地いい。十四郎は本当に少しだけ、俺に擦り寄るような仕草をする。 もっと甘えたいのに、思いきれないように。 だから俺はベタベタに甘やかす。 たまにはいいだろって。こいつはただでさえ我慢しすぎる。他でもない、俺が、この肩の力を抜いてやりたいんだ。 「あの……、な」 「ん? なーに」 「あの、……あのな、」 「うん」 「あの……、」 せわしなく動く睫毛が、俺の首筋をなでる。唇が動くたびに、息がかかる。 「今日は……、あの、」 「ん?」 「こ、これ……だけか?」 言い終わると同時に俺の肩に指が食い込む。 恥ずかしかった? 言うの、迷った? 「十四郎は? どうしたい?」 ぐずぐずに甘やかして、おまえのしたいことを全部先回りして、おまえが思いつかないことまでし尽くしてしまいたい。 でも、ダメだ。 それじゃ、ダメだよ十四郎。 「なにが、したいの?」 「……っ、」 「言ってくれたら、なんでもするよ」 だから言って。 甘えたいって言えよ。 めろめろにしてほしいって言ってみろ。 「あ……、さわ、んないの、か?」 「さわってほしい?」 ほら、俺はおまえに甘い。 選択肢なんかやるつもりなかったのに、おまえが頷けばいいように質問を変えてしまう。 安心したみたいなかわいいため息なんかつかれたら、もっと聞きたくなるだろ。 俺はじっと我慢して、十四郎の肌を手のひらで暖める。なるべくゆっくり。ただ、暖める。 「ん、ぁ……っ」 「……」 「ぎんぱち?」 「なんだ」 「……さわりたく、ねえ?」 「あん?」 「男の、カラダ……やっぱり、イヤか……?」 「だーれがんなこと言ったよ」 「さわる?」 「……」 ブフォォォ!? かわいいなコノヤロォォォ!! 「触る。いじり倒す」 「……ほんと?」 「ホント。泣いても止めてやんない」 「ん……!」 うわばばば、首にしがみついてきたよォォォ!! 喜んでんのか、喜んでんだよな!? 俺の勘違いじゃないよな! もうダメ、俺の我慢が吹っ飛んだ。 「あ、ん……」 耳朶にキスして唇で食んだら、くすぐったそうに肩を上げた。 「我慢して」 「ふっ……なんで」 「我慢して。言うこと聞いて」 「え、……んぁ」 「……とうしろう」 「う、ぁあん……!」 焦らして、じらして、 「あっ! 胸ヤだ……」 「なんで?」 「ヤだ……っ、そんな、とこ」 「くすぐったい?」 「あっ……ムズムズするぅ、」 熟れさせて、火ィつけて、 「ちょ……!? 痛ッ、あ、やだそこ……ぉ」 「痛い?」 「や、痛くな……けどっ、お腹痛くなっちゃう……」 「大丈夫。優しくするから」 甘やかして、溶かして、 「うぁ……! な、なに!? えっ、ぎん、」 「ヒもヒイ?」 「あっ……やっどこ舐めて……あーッ!?」 「ふぇら。されハこロラい?」 「えっ、なに!? ああっ……待って、ま……っ、ふぁっ、もっヤダ……ッ!!!!」 骨の髄まで俺の成分、染み込ませてやるよ。 「やーーッ! は、はなせッ、はな、してぇ……!? たの、むか……っ!」 「ラヘ」 「やーだーァァアァァッ! アァァあーーッ!?」 だからおまえの中身で、俺をいっぱいにしろ。 「初めてだった?」 「……っ!」 「え、ホントに初めてだったの?」 「……信じらんねえ」 「ふーん。初めてだったのか」 「……ぅ、」 「よかった。俺しか知らねーんだ。へへへ」 「……?」 「十四郎の味」 「んな……!? なな、なんの、」 「言っていいの?」 「やだっ、言うな!……うひゃ!?」 全部。ぜんぶ。 おまえの不安も、驚きも、 怖さも、気持ちよさも。 「も、やぁ……ぎん、ヤダぁ」 「ちゃんと掴まってな」 「うん……!」 「怖い?」 「こわ、く、なっ……!」 「気持ち悪い?」 「ヤッ……へ、き」 「動かさないから。な? ゆっくり息吐いて?」 「ふ、……ふっ」 「上手。ゆっくりな」 「ふぅっ……! ひっ? う、動かすなぁ」 「動かしてないって。痛かった?」 「いたくな……ぁん!」 「俺に寄っかかってな」 「うんっ、」 「しがみつけ。おもっきり」 「うんっ……あッ!? ヤダ、入ってくるぅ、」 「動かしてない。おまえの中がうねうねしてるんだよ。わかる?」 「ひーっ!? ウソだっ、」 「ほんと。あったかいよ、十四郎ん中」 「い、いや……」 「いい子。そのまんまゆっくり息してろよ?」 「ん……ひィィィ!? あ、あっ、あ……!!」 「痛かった? ほら、太い指入ったよ。ぜんぶ」 「も、ヤ、もっ、ヤぁ……あーッ!? やーーッ!! 入んな、い……っ!! ヤだヤだヤダぁあぁぁぁ……!」 「大丈夫、もう入るから」 「ぎんんん!! ヤダーーッ! ぎん、ぎんぱちぃぃぃ……」 「……ホラ、入った」 「え、どう、なってんの……っ?」 「んー? ここ、十四郎の入り口にね、」 「あーっ! う、うご、かさなっ、で、」 「俺の指がね。人差し指と中指がね、」 「アァァァッ……ッ!? やだ、やだぁ……」 「きゅうっ、って締め付けられてる」 「も、いい……! も、いっから、ぬ、抜い……!」 「痛いくらい。指が。食べられてるみてーだ」 「抜いて!? ぬけよっ、あーーッ!」 「食ってくれよ。俺のこと……なあ、とうしろう、」 |