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3Z卒業後篇/半同棲【負けず嫌い】


俺の可愛い土方くんは、とても負けず嫌いです。





「もうコーヒーいらねっつの!? また今度教えてやっから! な?」
「もう覚えたわ!! 今度こそ成功すっから見てろ!」

十四郎はこう見えて不器用だって、最近確認した。
高校のときもよく沖田くんにケータイ取られたり物落としたりしてたっけ。
準備室を片付けてもらってたときも、何個かカップ割ったよ。
俺としては、この子のきれいな指が切れたりしたらどうしようって、そのたんびに頭から血が引く思いがして、思わず叫んじゃったもんだったけど、この子はいつも悲しそうに謝った。

『すいません。かえって散らかしちまって』



あの頃は失敗するたびに、もうここに呼ばれないんじゃないかって心配になって、もう一回やらせてくれなんて言い出せなかったって。
ごめんね。
そんなこと絶対ないって、あの頃の俺は言えなかった。
もちろん、怖くて。キミの輝かしさが。

「そんな難しくねーんだけどなぁ」
「んな!? わかってらァ!」

コーヒーをインスタントでしか飲んだことがないって言ってたから、昔使ってたメーカーを押し入れから引っ張り出して、豆轢いて淹れてやった。
それを見て、自分もやってみたいって言ったんだ。
イヤやってみたいなんて可愛い言い方じゃないのよ、もちろん。
『それくらいなら俺でもできるからセンセは休んでろよ』くらいの勢い。

かわいいなあ、とはもちろん思ったけど、ちょっと可笑しかった。
こないだ一緒に料理してみたら、結構な被害が出た。
さすがの俺も、もう見てるだけでいいよって言っちゃったからね。
しゅん、てしてるのが可愛くて、速攻料理終わらせてご機嫌とったけど。

あれが悔しいんだな。

「なあ、俺お腹ちゃぽちゃぽー」
「飲まなきゃいいだろ! 取っとけばいいだろ!」
「えー、淹れたてが美味いのにー」
「ちょっと待ってろ! 今回は成功だから!」

しょうがない。
アイスコーヒー用に凍らせとこうっと。
もちろん砂糖いっぱい入れちゃうもんねー。




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