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3Z卒業後篇/半同棲【我慢する】


俺の可愛い土方くんは我慢がとても上手です





「腹減ってんだろ」
「そりゃ、満腹じゃねーけど!」

さっきから十四郎のお腹はぐうぐう鳴ってる。かわいいけどこの子は辛いはず。
今月は家計がピンチなんだって。
うっかりそれを自分で言っちゃってから、俺と一緒にご飯食べてくれねーの。

『いつまでも親とかセンセに甘えてるのは嫌だ』

高校生だったこの子に、大人になって早く忘れろって、俺は言った。
でもこのひとは、ずっと気持ちをあっためたまま大人になり、俺を迎えに来てくれた。
成人したとはいえ、やっぱり誉められたことじゃないのに俺は手放しで喜んじまったよ。

俺を好きっていう気持ちが、幼さのせいじゃないことを証明したくて自活することにしたんだって。ほんとかわいい。

で、今月は我慢の月らしい。
そんでそのことは俺に内緒にしとくつもりだったらしい。

「おめーひとり分くらい奢れるっつの」
「なんかイヤだ」

さっきからぐーきゅるきゅるって、腹の虫が鳴いてる。十四郎のだ。2人しかいないし、ここ俺んちだからね。

「いつも食うだろーが」
「いつもじゃない! それに……」
「?」
「外食は高くつくし」

お、何かを期待してくれてんだ? 嬉しいよ。
でも、遠慮って名前の我慢はしないでほしい。
立ち食い蕎麦屋かもしんないじゃん、かえって安いからね、1から作るより。まあ、俺んちだからそれなりに揃ってるけど。

そうじゃない。おまえの言いたいのは、別のこと。

わかってるんだけどこの子のくちから聞きたいから、俺はすっとぼけてる。
俺のほうが有利だ。だって時間が経てば経つほど、腹は減るだろ?

「俺も腹減ったんだけど」
「……」
「おめーが行かねえならひとりで行くかな」
「!」

ははっ、ちらちらこっち窺ってやんの。
俺は知らん顔でジーンズはいて、パーカーを羽織る。財布も持った。

「センセ……銀っ!」

来た来た。

「なーに?」
「おお、俺も行くっ」
「奢られる気になった?」
「や、あの……」

真っ赤になって俯く子。
我慢という名の皮を被った『遠慮』が抜けない子。

――早く脱いじまえよ、そんなもん

「一緒に、か、い物行こ、で、作るの手伝うから!」
「……」
「ここで、2人で食べたい……っ」
「……」
「……ご、ごめん」
「……いや」


びっくりした!
ひと皮剥いたらコレだよ!?

俺が作ったの食いたいんだろうって思っただけだったのに、『手伝う』『2人で』!
銀さん鼻血出そう。

イヤここは、我慢がまん。

「よし。買い物行くぞー、何食うよ?」
「出汁巻き卵!」
「おー。いいぞ」



(アレか……可愛すぎんだろオイィィィ!?)





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あきゅろす。
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