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万事屋未来篇
外出準備をする【点呼を取る】





でも銀時は全然違うことを考えていたらしい。なんだよチクショウ、俺が未亡人になってもいいのか。俺は嫌だ。


「ひとりだけ、そんな無茶をして生き残ってるヤツがいる」
「そんなツワモノが!?」
「おめーの元上司だよ。近藤くん」
「ああ……確かに命は落としてねえな」

何を言うかと思えば。

ただ死んでないだけであって、かなり痛い目に遭ってるぞ。ホント、俺だったら死んだほうがマシって思うと思う。イヤ、俺だったらって考えんのも怖い。

「慣れたっつってたろ、新八が。あり得ないからね、生物だったら」
「……あの女のナンチャッテ料理だけは、近藤さんがオカシイと認める」
「だけは、って。いろいろオカシイからね。近藤くん相当強いからね、お妙に関しちゃ」
「強い? 近藤さんが? あの女に関して?」
「あの兵器を日常的に食えるようになったヤツって、俺は近藤しか知らねーんだけど。最強じゃね?」
「……」


ナイナイ。むしろ逆だろ。
近藤さんはあの女に限って勝てた試しがない。女だし惚れた相手だし、勝負とは違うのかもしれないが客観的に見てこれまでの対戦成績は極めて悪い。やっとここんとこ少し陽の目を見たようだが、だからと言ってあの女が尻に敷かない訳がない。
つうかお前は馴れ初めこそ知らないだろうが、その後の経過は俺よりよく知ってんだろが。それがあったからこそお前は俺と……ってゲフンゲフン。
でも、と銀時は珍しく近藤さんを持ち上げ続けるんだ。


「確かにゴリラだけど、バナナ以外に卵焼きモドキが食えるように進化したんだぜ?」
「進化ってなんだか知ってるか」
「あの暗黒物質に対応できるってどんな消化器官だ。パワーアップにも程があんだろ」
「その意味では進化してるかもな」
「あり得ん。ゴリラの進化だけじゃなし遂げられないだろコレ」
「近藤さんはゴリラじゃない……ってこのボケツッコミまだ続けんのか。もうやめねえかコレ面倒くせえ」


「お妙も進化したのかもしれない」


「だよな! スルーだろうと思ってたよ俺も! 面倒くせえよなお前も!」
「可哀想な卵から卵焼きモドキくらいには進化があったのかも」
「聞いてんのかゴラ面倒くせえんだろ? 俺は面倒くさい」
「だとしたら、あのゴリラが進化のきっかけだろ」
「……ちっ、まあな」
「コレ凄いことじゃねーの? お妙の動物実験に尊い命を差し出したゴリラってことで、表彰モンじゃねーの?」
「近藤さんだからな。ゴリラじゃねーぞ。面倒くせえが」


「そんでもって俺ら、今から恒道館に行くじゃん」
「……おう」
「お妙がまた妙な食いモン出してきたらアブねえじゃん」
「おー、」
「やめさせてくれって、予め頼んどきたいじゃん」
「……ぉー」
「けど、十四郎がそんなことのためにゴリラと口利くのって腹立つじゃん」
「ソコ同意を求められてもな」
「立つよコレ。やっとゴリラからぶん捕ったっつのに。あと五年くらい会わないでほしいくらい腹立つから」
「考え過ぎだろテメェは」
「わかってるよ? わかってるけど。実際そんなことできねーしオメーはウチ来たからにゃもうどっか行ったりしねえしましてやゴリラのお守りに戻ることもねえのは知ってるんだけれども」
「アホか。いい加減にしやがれ……ってオイ、」



神楽が、いない。
定春も。




「テメェがアホなこと言ってるからだろ!? 早く探せ、行きそうなトコどこだ!?」
「あ? んー……焦んなくていいと思うけど」
「たまにゃシャキッと動きやがれ! 早く探さねえと」
「あー、うん」
「早くしろ、初動が肝心だぞ!」
「うん。面倒くさい」
「……」



この野郎、聞いてやがったのかァァァ!?
つうか、面倒くさがるのソコォォォ!?






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